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老後破綻を防ぐために、老後資金の多寡よりも重要なことがある。本稿では老後のお金相談に訪れた3人の事例をご紹介するが、60歳時点で老後資金が3000万円あっても老後破綻に陥るリスクがあるのだ。そうならないために本当に大事なことは、「60歳からの5年間の過ごし方」だということをお伝えしたい。(株式会社生活設計塾クルー ファイナンシャルプランナー 深田晶恵)

60歳以降に訪れる
2回の「収入ダウンの崖」

 この数年、定年前後の方からリタイア後の生活設計のご相談を受ける中で、痛感していることがある。それは、老後の安心を得るためには、老後資金の多寡よりも「60歳からの5年間の過ごし方」が重要であるということ。

 会社員は、勤務先の倒産やリストラなどによる突然の失業に陥らない限り、年間の収入が数百万円も減る事態にはならない。50代のうちは、ボーナスの変動が多少あったとしても、横ばいの年収が続く人が大多数だ。

 ところが60歳で定年になると、収入は激減する。59歳で年収はピークを迎え、定年後に勤務先の再雇用制度を利用して働いたとしても、年収は大幅に減る。50代のときの半分以下、人によっては3分の1くらいまでダウンする。