消費増税は「立法リスク」から
「執行リスク」へ
8月10日の消費増税法案の可決により、消費税率の引き上げは「立法リスク」を乗り越えた。しかし、「執行リスク」はいまだ強いと言わざるを得ない。
特に2014年4月の消費増税(消費税率5%→8%)により需要の反動減が起きる2014年度の景気(当社予想は-0.1%)は、かなり厳しいものとなろう。これが2015年10月の消費増税(消費税率8%→10%)に対して、非常に強い執行リスクとなる可能性がある。
つまり、2014年4月の消費増税が景気の反動減を通じて、2015年10月の消費増税の執行リスクを強めるという皮肉な構図だ。
改めて振り返る
「消費増税法 附則第18条」と「三党合意」
もちろん政府は、2014年4月、2015年10月ともに消費税率を引き上げようとするであろう。すなわち、2014年度の実質GDP成長率がゼロないしマイナスとなる事態を放置しないであろう。
では、そうした事態を回避する手立てとして何が想定されるだろうか。消費増税法の「附則第18条」と民主党、自民党、公明党の「三党合意」を振り返りながら、そこで想定されている消費増税の執行リスクと、それに対する手立てを見ておこう(図表1参照)。
「名目3%成長、実質2%成長」は
消費増税の条件ではない!
消費増税法附則第18条には、経済成長率との関係で重要な記述がある。そこでは、目指すべき望ましい経済成長率を「2011年度から2020年度までの平均で名目経済成長率3%、実質経済成長率2%」としている。