送検のため京都府警・中京署を出る大久保愉一容疑者を乗せた車送検のため京都府警・中京署を出る大久保愉一容疑者を乗せた車(7月24日撮影、京都市中京区) Photo:JIJI

京都地検は13日、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性から依頼され、薬物を投与して殺害したとして、嘱託殺人罪で医師2人を起訴した。主治医でもない2人が安楽死を望む女性から報酬を受け取り、殺害したとされる過去に例のない事件。京都地検は起訴内容以外、事件の詳細について口を閉ざし、動機に関わる供述どころか、認否さえ明らかにしていない。京都府警、地検のガードは堅く、事件の謎は多く残ったままだ。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

単独犯ではなく共謀の謎

 起訴されたのはいずれも医師の大久保愉一被告(42)=仙台市泉区=と、山本直樹被告(43)=東京都港区=。

 起訴状によると、2人は共謀して昨年11月30日午後5時20分ごろから同35分ごろ、ALS患者の林優里さん(当時51)=京都市中京区=の自宅マンションで、嘱託を受けて胃ろうから薬物を注入。

 同日午後8時10分ごろ、搬送先の病院で、急性薬物中毒で死亡させたとしている。

 全国紙社会部デスクによると、京都地検は「嘱託殺人罪に問える合理的な疑いを超える立証が可能と判断した」と起訴に至った理由を説明。