「どうすればお客様を満足させられるか」を最優先で考える
三光ソフランホールディングス株式会社 代表取締役社長
1945年、大宮市(現さいたま市)生まれ。東京電機大学電気工学科卒業。1974年に三光不動産株式会社(現三光ソフランホールディングス)設立、代表取締役社長就任。現在、三光ソフラン(株)代表取締役会長、メディカル・ケア・サービス(株)代表取締役会長、(株)財産ドック代表取締役社長、全国賃貸管理ビジネス協会会長、(財)日本賃貸住宅管理協会副会長など、様々な役職を兼任。2004年に、不動産事業の振興に多大な貢献をし、関係団体の役員として業界の発展に寄与したとして、「国土交通大臣表彰」受賞。2006年には、建設・不動産・賃貸管理・介護事業の功績により、「黄綬褒章」を受章。さらに2016年には、「旭日双光章」を受章。
高橋:成功の秘訣は「笑顔」と言いましたが、「どこまでも徹底した笑顔」ということです。
上辺の笑顔ではなく、自然に出ちゃうような笑顔だとさらにいいですね。
美容室などは特にそうでしょう? お客様が美容師の仕事ぶりに「ありがとう」と感謝をして、美容師側も「こちらこそ、ありがとうございます」とお礼を伝える。そのやりとりの中に自然な笑顔があるわけですよね。
美容師として、お客様が気に入るヘアスタイルをつくらなければならない。けれど、自分の技術では目の前にいるお客様を満足させることができそうもない。そんなとき、どうするか。
私なら先輩を呼んできて教わりながらカットをします。お客様は「この美容師さん、自分でできないんだ」と不満を覚えるでしょうね。けれど私の「行い」は評価してくれるはずです。「目上の人にお願いしてまで、私をきれいにしようとしてくれた」という熱意を認めてくれます。その熱意が伝われば、今は技術がなくても、そのお客様はきっとまた来店されると思います。
山下:そうですよね。
高橋:努力する姿勢を見せることも、ファンづくりには大切です。100パーセントの仕上がりにはできなかったとしても、「その場で教わりながら、ここまでやった」という行動を示すことで、「勉強熱心な姿勢」が伝わります。
するとお客様は、「今はまだ頼りないけれど、いずれ力をつけて、私に似合うカットをしてくれるに違いない」と期待を抱くと思います。
山下:それは新しい価値観ですね。美容業界ではこれまで「技術的に未熟な部分を見せてしまうのは、お客様を不安にさせる」という暗黙のルールがありました。教わったり、練習したりというのは、陰でこっそりやっていたことです。それを堂々とお客様の前でやるのは、新鮮です。今のお話は大変参考になります。
高橋:重要なのは、美容師としての「自尊心」を守ることではなく、「お客様を満足させること」ですよね。ならば自分の気持ちは少し引いて、お客様を満足させることに死力を尽くすほうが、みんなが幸せになりますよ。
山下:その通りですね。美容師は平均年齢が若いので、お客様の年齢層との差が広がりつつあります。これから先は、高橋会長がおっしゃるような美容師が時代にマッチするのではないかと感じます。
若手が情熱を持って、上司、先輩の手を借りながらでもお客様満足に尽くせば、「あの美容室は一所懸命やってくれる」とお客様も評価してくださると思います。
高橋:山下さんは、44歳ですよね。私より30歳も若いのに、本当に幅広く勉強をして、行動に移してきた。そしてその行動を習慣化しています。私が44歳のときはまだまだ甘くて(笑)、『年収1億円になる人の習慣』のような本はきっと書けなかった。
山下:ありがとうございます。私が年収1億円を達成できたのは、高橋会長のような人に憧れ、「自分のためだけにお金儲けをするのは、カッコ悪い」「他人のために頑張ったほうがカッコいい」という美意識を持つことができたからです。
自分が芯から「カッコいい」と思えたことになら、体は自然に動いてくれるんですよね。
たくさんお話が聞けて本当によかったです。ありがとうございました。
(了)