世界最大の自動車市場である中国が再び調子を上げていることを受け、同国の自動車メーカー吉利汽車が一段と加速しそうだ。中国の自動車販売はほぼ2年ぶりに反転し、良い方向に動き始めている。7月の乗用車卸売り販売台数は前年同月比8.5%増と、3カ月連続でプラスとなった。今年は新型コロナウイルスのおかげで散々な出足だったが、現在は大幅な値引きと有利なローンが買い手を呼び込んでおり、特に大都市や高価格帯の車で顧客の動きが活発だ。中国経済が新型コロナ危機から脱却しつつある中、自動車市場の回復は今後も続く見込みが大きく、国内トップブランドの吉利は有利な立場にある。吉利の株価は今月、同社が通期の目標販売台数を6%引き下げて132万台に修正したことが響き、下落した。だが、今年の年初数カ月間の売り上げが悲惨な状況だったことを考えれば、目標の下方修正は意外ではなかったはずだ。また新たな業績見通しも、今年の年末までの5カ月間の売り上げは前年比11%増と、市場全体の成長見通しを上回ることを示している。