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藤井聡太六冠という23歳のスーパースターを中心に回っている近年の将棋界。しかし数年続いた「藤井一強」時代がこの先続いていくかどうかは、わからない。藤井と同い年でライバルと目される伊藤匠二冠(23歳)が存在感を高めつつあるのだ。また永瀬拓矢九段(32歳)、佐々木勇気八段(31歳)、増田康宏八段(28歳)といったトップクラスの棋士たちも充実の時を迎えている。2026年、将棋界は「藤井一強時代」からどう変わるのか?レジェンド・羽生善治九段の「タイトル通期100期達成」はどうなる?女性棋士は誕生するのか?2025年の将棋界を振り返りつつ、2026年を展望する。(将棋ライター 松本博文)
異次元の強さを誇る藤井聡太
将棋界では周期的に、時代を制する大棋士が現れる。藤井聡太六冠もまたその系譜の一人だ。
2016年、藤井は現代将棋史上最年少の14歳2カ月で四段に昇段し、棋士に昇格した。2020年には史上最年少17歳で将棋界八大タイトルの一つ、棋聖に挑戦。五番勝負で渡辺明棋聖(現九段)を降し、初タイトルを獲得した。以後は着々とタイトルの数を増やし、将棋界の若き王者へと成長していく。
2023年、七冠を保持していた藤井は、王座戦五番勝負で永瀬王座に挑戦。3勝1敗でシリーズを制し、21歳の若さにして、史上初の八冠同時制覇を達成した。
野球界では大谷翔平選手が、現実離れした活躍をして話題となっている。同様に、将棋界における藤井の異次元の成績もまた、とても現実とは思えないようなものばかりだ。
まだ若い藤井の天下はこの先も当面、盤石とも思われた。その中で台頭してきたのが、藤井と同い年の伊藤匠である。







