日経平均株価はコロナ禍で善戦
背景には世界で溢れかえるマネー
7月末の日経平均株価は、2万1710円へと下落。新型コロナウイルスの感染者数が再び拡大したことや円高の影響を受け、6日続落となった。
ただ、米ドルで運用する海外投資家が重視するドル建て日経平均株価は、7月最終週に新型コロナ流行前の年初来高値水準(218ドル)に一時迫った(図1参照)。米国やユーロ圏の4-6月期GDPが過去最大級に落ち込むなど世界的に景気が悪化する中、3月後半以降の日経平均株価は大善戦してきたと評価できる。
日経平均株価が善戦した背景の1つに、海外投資家のマネーが溢れかえっていることがある。米連邦準備理事会(FRB)は、新型コロナ対応で3月以降、国債や社債、投機的格付のジャンク債まで購入し、マーケットに資金を大量に供給。FRBの総資産は短期間で7兆ドル(約735兆円)まで拡大した。
供給されたマネーがマーケットに染み出しており、投資に備えた待機資金ともいえる米国のマネー・マーケット・ファンド(MMF)の残高は、過去最高の4兆ドル台後半と、短期間で約1兆ドル増加した。運用難で行き場を失ったマネーの一部は、高値を更新している金(ゴールド)や暗号資産(仮想通貨)に流れているとみられる。
この海外投資家の巨額マネーは、引き続き世界の株式への投資機会をうかがっている。中でも、新型コロナの感染者数が世界的に見れば少なく、影響が軽微といえる日本の株式に注目している投資家は多いはずだ。加えて日銀も、3月にETFの購入目標額を12兆円に倍増し、継続的にETF買いを実施している。現状の株式市場の需給環境は、むしろ良好といえる。
ただ、株価を左右する最大の要因は企業業績だ。企業業績が極端に悪いボロボロの状況では、株式に資金は向かわないだろう。しかし筆者は、当面の日本企業の業績が、意外に底堅く善戦するのではないかとみている。直近で発表された決算でみられた、いくつかの良い特徴を以下に整理してみよう。