草の根イノベーション社員それぞれが“出島”をつくり、試行錯誤する自由を持つことが、草の根イノベーションの出発点だ Photo:FG Trade/gettyimages

 コロナ禍による急激な経営環境の変化で強まった危機感により、日本企業ではイノベーションに取り組む機運が高まっている。

 しかし、いざ取り掛かろうとすると、今までの経営手法と勝手が違い、経営陣は戸惑っているようだ。本連載第52回でご紹介したが、このような変革期の経営トップは、「両利きの経営」に挑むことになる。「両利き」とは、既存事業を守りながら、新事業の探索・創造という攻めを同時に追求することだ。

 新事業創造では、既存体制の価値観から切り離す必要がある。そのため、新事業に取り組む組織を、既存組織とは別の小さな“出島部隊”から始めるのが定石だ。実際、「イノベーション推進室」などを新設し、シリコンバレーにそのような部署から駐在員を派遣して、シリコンバレーを出島として活動している企業は少なくない。