イギリスからの翻訳書Google・YouTube・Twitterで働いた僕がまとめたワークハック大全』が本年9月に発売された。コロナ禍で働き方が見直される中で、有益なアドバイスが満載な1冊だ。著者のブルース・デイズリー氏は、Google、YouTube、Twitterなどで要職を歴任し、「メディアの中で最も才能のある人物の1人」とも称されている。本書は、ダニエル・ピンク、ジャック・ドーシーなど著名人からの絶賛もあって注目を集め、現在18ヵ国での刊行がすでに決定している世界的なベストセラー。イギリスでは、「マネジメント・ブック・オブ・ザ・イヤー 2020」の最終候補作にノミネートされるなど、内容面での評価も非常に高い。本連載では、そんな大注目の1冊のエッセンスをお伝えしていく。

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「幸せな子ども時代」を過ごすと「お金持ち」になりやすい

 誰もが心に抱えている、ある本音に目を向けてみよう。普段は漠然と頭に浮かべていて、酔ったときについ友人に漏らしてしまうような本音だ。

 それは、海外旅行や庭いじり(ズッキーニやブロッコリーを有機栽培していたりする)をしているときのほうが、仕事をしているときよりもはるかに幸せでいられるという考えだ。

 人と仕事の関係はいつでも複雑だ。仕事がなければ、僕たちは不幸になる(失業者は、職がある人に比べてネガティブな考えを頭に浮かべやすい。収入や社会的地位を失い、生活や人生の目標についての不安につきまとわれるからだ)

 ところが、いざ職を得て働き始めると、仕事を忌み嫌うようになる。

 なかでも最悪なのは、上司と一緒にいることだ。だから、ズッキーニを育てるのが魅力的だと感じてしまう。

 統計データもあまり元気になるような数字は示していない。会社員は、自分の人生を10点満点で6点前後に評価する傾向がある。

 スマートフォンのアプリを使った数万人を対象にしたイギリスのアンケート調査では、あらゆる行動の中で「仕事をしているとき」の幸福度が2番目に低かった。

 一番低かったのは「病気で寝ているとき」だ。通勤もまったく楽しくない行為だと見なされている。

 お金が人を幸せにしないとは、昔からよく言われることだ。もちろん、ある程度のお金は安心感や幸福感を得るために必要だが、豊かになればなるほど幸せになるとは限らない。しかし、「幸せだと金持ちになる」という、逆の真理についてはあまりよく知られていない。

 研究者のアンドリュー・オズワルドとジャン・エマニュエル・デ・ネーヴェは、幸せな子ども時代を過ごすことが、大人になったときの経済状況に良い影響を与えることを明らかにした。

 幸福度をスコアに換算する一般的な方法を用いると、22歳時の生活満足度が1パーセント上昇するごとに、29歳時の収入は2000ドル上昇していた。

 データは、気が滅入るような社会的側面も示している。貧しい家庭で生まれ育つと、幸福度も低くなることがわかっている。

 貧困がもたらすストレスや悪影響は、人を否定的にする。それは世代間で受け継がれていく。カンザス大学のベティ・ハートとトッド・リズリーによれば、低所得の家庭の子どもは、4歳になるまでに褒め言葉よりも落胆を表す言葉を合計12万5000語も多く聞いている。

 一方、裕福な家庭では、褒め言葉のほうが56万語も多い。人が耳にする言葉は、考え方や将来の目標の形成に影響を与えることがわかっている。

 だからこそ、これは残酷な事実だ。

 だけど、仕事で幸せを感じられるようになれば、収入が増えるだけではなく、仕事を長く続けられるようにもなる。科学ではこれを「逆の因果関係」と呼んでいる。つまり、双方向に作用するウィンウィン(またはルーズルーズ)な関係だ。また、ワーウィック大学の研究によれば、幸せな労働者の生産性は12パーセントも向上する。

 逆に、不満を抱いている従業員の生産性は10パーセントも低下していた。全体では22パーセントの差があるということだ。