年末年始商戦は、極寒の消費不況の中にもかかわらず、前年並みを維持した。不況の世相を反映して、売れたのは“イエナカ”、“巣ごもり”関連商品だった。
2010年の正月は、1月1日(金)、2日(土)、3日(日)という曜日並び。海外旅行などの遠出を控えて近場での買い物で過ごす傾向にあったためか、来店客数は前年を上回った企業が多かった。
大手百貨店各社の初売り(1月2日、3日)売上高は、ほぼ前年並み。売れたのは生活必需型の福袋で、「客数は増えたが、単価は下がった」(J.フロントリテイリング)。百貨店では例年、アパレルブランドが発売する衣料品福袋の人気が高く、昼過ぎには売り切れになることが多い。今年はこれに加えて、食品やリビング用品などの福袋が好調だった。
そごう西武では、紳士用ワイシャツ1週間セット(5枚入り)5,250円や、エプロン福袋(エプロン2点+割烹着1点)3,000円が売れた。
三越では、有名菓子の詰め合わせ3,150円や、ブランドタオルの福袋3,150円が完売だった。また、三越では時間消費型の福袋が人気を集め、九段下の寿司屋や汐留のレストランなど高級レストランのペアディナー券2名で1万0,500円が好調だった。
ショッピングセンターでは、イオンで靴下5足1,000円や、ベビーインナー(パジャマ、肌着)3,000円といった低価格帯の福袋が売れた一方で、3万9,000~4万9,000円のブランドバックの福袋が売れるというように、売れ筋が二極化した。
ゲーム関連がこの3年間で最も売れ、“イエナカ”世相を反映して、任天堂のWiiが牽引した。
好調だったのが、家電量販店だ。
エコポイント制度や、2月に開催されるバンクーバー冬季オリンピック、2011年に移行する地上デジタル対応デレビが、家電の駆け込み需要を後押しした。
都市型店舗が中心のビッグカメラは、1月1~3日の全店売上高が5%増。薄型テレビやブルーレイレコーダーは20%増、エアコンは40%増だった。また、精密メーカーが相次ぎ新商品を投入したデジタル一眼レフは30%増だった。
ケーズデンキは同じく1~3日の既存店売上高が2ケタ増。郊外型店が多い同社では、冷蔵庫などの白モノ家電が売れた。エディオンはグループ全体で20%増。やはり、省エネ、映像関連が牽引した。
「不況で販売状況が厳しい時代は、年末年始といった祭事期は意外と売り上げが取れる」(流通業幹部)という。年初の勢いが続くとはいかなそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)