安倍政権7年8カ月、「引きこもり政策」視点では評価できる理由最後の閣議を終え、職員から花束を受け取って官邸を去る安倍晋三前首相(2020年9月16日) Photo:JIJI

弱者に目を向けているようにはなかなか見えにくかった安倍内閣。しかし、「引きこもり支援政策」という観点では大きな功績を残したといえる。安倍政権時代の政治動向を振り返りながら、その理由を解説しよう。(ジャーナリスト 池上正樹)

安倍政権が大きな功績を残した
引きこもり支援政策の改善

 7年8カ月にわたった安倍政権にはいろいろと批判も多かったが、国の引きこもり支援政策に関していえば大きな功績があった。長年変わらなかった支援の枠組みを、引きこもっている当事者の目線から考えていこうという方向に大きく転換させたからだ。

 ただ、その功績は、国や東京都などでそれぞれ与党として政策に関わってきた公明党の尽力によるところも大きい。

 その立役者の1人が、公明党の山本博司参議院議員だ。自らも重度の知的障がいの子を持つ1人の親として、10年以上前から「ひきこもり家族会」などの当事者団体を支えてきた。同氏に話を聞きながら、引きこもり支援政策から見た安倍政権時代の政治動向を振り返ってみたい。

 山本議員は、参議院議員に初当選する前の2007年春ごろから、KHJ全国ひきこもり家族会の「愛媛県こまどりの会」や「香川県オリーブの会」に参加。自分と同じように大変な思いをしている家族の実態を知り、地方議員とも連携しながら国会で引きこもり支援政策に関する質問を繰り返してきた。