パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が展開するディスカウントストア「ドン・キホーテ」は本当に「大人になってしまった」(大原孝治前PPIH社長)のだろうか――。若者の購買行動をとらえ、M&A(合併・買収)で店舗数を増やし、今や国内小売業上位5位にまでのし上がったドンキ。隘(あい)路はないのか。(流通ジャーナリスト 森山真二)
かつてドンキといえば
ヤンチャな若者の店というイメージ
平日の夕方。ドンキの店内にはターゲットにしている若者ばかりではない。年の頃なら、50代、60代とみられる主婦も目立つ。ある日の午前、ドンキ店内で60歳代くらいと思われる主婦が何を購入しているのだろうと何気なく見ていたら、若者に人気のサンダル「クロックス」の売り場にいるのである。
かつてドンキといえば、“ヤンキー風”のヤンチャな若者が“ヤン車”と呼ばれるバリバリの改造車を、ブルブルいわせて駐車場に乗り付け、派手なカー用品を探すというイメージを抱く人が少なくなかった。ところが、実際の売り場では“おばさん”(失礼!)がクロックスを物色しているのである。
ドンキにとって“ヤンキー風の若者”ももちろん上得意なのだろう。とはいえ、「年配の女性がクロックスとは?」と、不思議に思いながら店内を見まわしてみたら結構、年配の人が目立つのである。
なぜ、こんなことを冒頭で書くのかというと、「ドンキは大人になってしまった。若者が離れてしまったかもしれない」とPPIHの前社長、大原孝治氏が昨年発言していたからである。