不正貯金引き出しをめぐる対応の遅れを謝罪するゆうちょ銀行の池田憲人社長(右)ら
9月24日、預金不正引き出しをめぐる対応の遅れを謝罪するゆうちょ銀行の池田憲人社長(右) Photo:JIJI

NTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」を悪用した預金不正引き出し事件は、急成長・急拡大を遂げてきた電子決済サービス事業者をはじめとした関連企業に、強烈な逆風をもたらした。その一方で、銀行を含めた関連する企業からは、邦銀最大規模の顧客基盤を抱えるゆうちょ銀行のセキュリティーに対する姿勢を、不安視する声が漏れている。(ダイヤモンド編集部 片田江康男)

フィンテックは全部危険?
強烈な逆風に悩む決済事業者

「今月リリース予定だった新サービスは延期。銀行側からセキュリティーの見直しをしたいという要望があった」

「風評被害がひどい。銀行のシステムと連携しているサービスは、全て危ないと思われている」

 苦しい胸の内を明かすのは、ここ数年、金融サービスの変革者として次々に生まれ、急拡大・急成長を遂げていたフィンテック(ITと金融の融合)企業の幹部たちだ。

 フィンテック業界にはこの数年、利便性の高いキャッシュレス社会の実現という時代の要請もあって、強い追い風が吹いていた。ところが、NTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」を悪用した預金不正引き出し事件をきっかけに、セキュリティー不安が日本全国に一気に伝播。追い風はすさまじいほどの逆風に急変した。

 フィンテック協会理事で、家計簿アプリを提供するマネーフォワード執行役員の神田潤一氏は「今までの流れが全て止まることはないだろうが、今のやり方で本当にセキュリティーは大丈夫なのかどうか、見直しが入ることは避けられない」と話す。