昨年末に激震が走った前総務事務次官による情報漏洩問題。調査報告書から見えてくるのは、日本郵政と総務省の異常なまでの癒着とゆがみ切った上下関係だ。(ダイヤモンド編集部 中村正毅)
調査報告書公表するも真相はやぶの中
「(鈴木茂樹)前(総務)次官と(日本郵政の鈴木康雄)前上級副社長とのやりとりについて、前上級副社長側に違法性は認められなかった」
日本郵政が5月25日、公表した前総務次官による情報漏洩問題の報告書は、突っ込みどころが満載だった。
「総務省もしくは前次官が(ヒアリング調査に)協力することは望めないため(中略)協力要請は行っていない」ことをはじめとして、挙げれば切りがないが、中でも首をかしげたくなるのが、違法性なしと判断する根拠となった、情報要求の有無についてだ。
まず報告書では、総務省の内部監察結果などを基にして、(1)日本郵政グループ役員の責任の取り方に関する総務省内のやりとり、(2)関係者しか知り得ない総務相の日程、(3)「かんぽ不正」を巡る行政処分の方向性という三つの情報を、前次官から前上級副社長に対して、電話とショートメッセージで提供したとしている。
さらに、その情報は前上級副社長が要求したものではなく、前次官が良かれと思って、一方的に提供してきたものであったと整理している。
前上級副社長は「情報は要求していない」と話しており、証拠となるショートメッセージはすでに削除され、また前次官には全く話を聞いていないことから、総務省のかつての「後輩」が「先輩」に勝手に情報を提供してきたと整理し、前上級副社長には違法性がないとしたわけだ。