日銀
これまで、金融政策の正常化へと大きく舵を切れなかった日銀。菅政権下で政策を変えられるだろうか Photo:PIXTA

安倍首相辞任は
金融政策の転換点に

 日本銀行は、決して明言することはないが、異例の金融緩和策のリスクを管理・軽減する措置や事実上の正常化を、2016年以降進めてきている。それでも、明確に正常化策へと大きく舵を切れないのには3つ理由がある。

 第1は、政策の失敗を認めることで、日本銀行の信頼を損ねたくないからである。

 第2は、金融市場の反応を恐れるためである。特に日本銀行は、正常化方向に金融政策を明確に転換したと市場が受け止めた際に生じ得る、急速な円高進行のリスクを強く警戒している。日本銀行は効果があるから緩和策を続けるのではなく、止めることが難しいから続けざるを得ない、という側面が強いのではないか。

 そして第3は、安倍前首相の大きな存在感である。安倍前首相は、「考えを同じくする人」として現在の黒田日本銀行総裁を選んだ人物だ。金融政策の転換がアベノミックスの失敗であるとして、安倍前首相が批判に晒される可能性に日本銀行としても最大限配慮することを、強いられてきたのではないか。

 この点を踏まえると、安倍前首相の辞任は、日本銀行が異例の金融緩和策のリスクを管理・軽減する措置や、事実上の正常化をさらに進め、将来の明示的な正常化への準備を進めることを助けるのではないか。

しばらくは政策姿勢に
変更がないことをことさら強調

 しかし、安倍前首相の辞任発表を受けて、即座に日本銀行が政策姿勢を変えることは考えられない。むしろしばらくの間は、政権が変わっても金融政策には変化がないことをことさら強調する情報発信を、日本銀行は実施する可能性が高い。