テスト前なのに勉強もせずゴロゴロして、スマートフォンをいじっている子どもを見ると、ついイライラしてしまうものです。そして、つい言ってしまいます。
「勉強しなさい!!」
しかし、子どもは親に勉強しなさいと言われるほど、勉強したくなくなる生き物です。「うるさいなあ」と言いながらも机に向かってくれればいいほう。「今やろうと思っていたのに!」と怒りだし、かえって勉強が手につかなくなり、フテ寝してしまう子もいるでしょう。
そんなご家庭に紹介したいのが、『朝15分学習法』です。やり方は、とっても簡単。子どもが朝起きたらすぐに食卓に座らせて、たった15分、学習させるだけ。
用意するのは、消しゴム2個と鉛筆2本でOKです。
これだけで、子どもに学習する習慣がつき、小学校、中学校、高校、大学にあがっても、自ら勉強する子どもに育ちます。親御さんの望む、子どもの学習習慣が手に入れられるのです!
本連載では、延べ6万5000人以上の子どもたちを指導してきた著者が、0歳から大学生までの学習実例をもとに、正しい学習姿勢のポイントをはじめ、お風呂での学習法や、塗り絵を学習に生かすコツなど、子どもの年齢に合わせた学習法を紹介していきます。
「本当は遊んでいるんじゃないだろうか」と
心配しなくてもよくなる
親御さんが気になるのは、子どもが「その日やるべき学習」をちゃんとしたのかどうか。朝学習が定着すれば、この毎日の悩みは解決します。
子どもが小学生になると、学校の宿題ができているのかどうか、学校の勉強についていけているのかどうか、気になるものです。中学生になれば、部活でヘトヘトになっている子どもを見るたびに、いつ勉強しているのか心配になるものです。
だから、つい「宿題はやったの?」「早く宿題やりなさい!」と注意してしまいますし、成績が少しでも下がれば「やるべきことを後回しにしているからでしょう!」と叱ってしまいます。
親は、子どもに十分に力を発揮させてあげたいからこそ、もっと勉強してほしいと思うもの。しかし、親に注意されて、素直に学習に取り組める子どもはほとんどいません。小言は逆効果なのです。
しかし、朝学習が定着すれば…親は毎朝、子どもが集中して学習に取り組む姿を見ることができます。子どもが自主的に、しっかり学習できることを確認することで安心感が生まれ、心にも余裕が生まれます。そして夜、子ども部屋で一人こもって学習しているときも、「本当は遊んでいるんじゃないだろうか」と心配するのではなく、安心して子どもに任せることができるようになります。毎日毎日心配し続けていた、永遠に続くように思われた親の悩みが解消するのです。
この後、いくつか例を挙げてみましょう。
●小学2年生の子どもを持つ、専業主婦の鈴木さんの場合
鈴木さんは、有名進学校出身。教育熱心で真面目なお母さんです。ご自身が子どものころは勉強で苦労したことはなかったそうですが、娘の沙耶(さや)さんが小学校に上がってからは、「学習をさせるのが大変だった」と言います。
小学校から帰ってきたら、すぐに「いつ宿題するの?」「まだ始めないの?」と子どもに声をかけ続けました。しかし子どもは、帰ってきたらまずおやつを食べてゆっくりしたいものです。
沙耶さん自身は、勉強が嫌いではありません。毎日宿題だけでなく、お母さんが用意したドリルも学習していました。しかし、帰宅した直後は疲れているうえに、お母さんがあまりに学習をせかすので、キーキー文句を言いながらしぶしぶ机に向かう…という状態でした。
鈴木さんは、そんな娘の姿を見るのがとてもつらかったそうです。本当は、子どもを思い切り遊ばせてあげたいし、好きなテレビ番組も見せてあげたい。でも、ご自身の経験からも「遊びもテレビも、まずは学習が終わってから」を徹底していたのです。
2年生になってから、鈴木さんは子どもに与える学習の範囲を増やしたいと考えました。そうなると、帰宅後~夕食までの時間では学習時間を確保できないことに気づき、朝学習を新たに取り入れました。
そこから、鈴木さんの生活は一変しました。朝の段階で、その日にやるべき学習がある程度終わっているので、気持ちがとても楽になったのだそうです。
沙耶さん自身も、朝学習が終わった時点で、今日はあとどれぐらい学習すればいいのかが把握できるので、計画的に行動できるようになりました。そして空いた時間に本を読むなど、好きなことをしてすごせる余裕が生まれました。
鈴木さんは、朝学習について私にこう話してくれました。
「『時間に余裕が生まれるとこんなに楽になるのだ』と親子で実感できたら、朝学習は継続できると思います。学習が好きな子でも、自分の好きなことができなければ疲弊してしまいます。朝学習により捻出できた時間に、読書をしたり、テレビを見たりと自分の好きなようにすごす子どもを見るのは、親としてとても嬉しいもの。我が子には、時間に追われるのではなく、時間を自分の思い通りに管理できる人に成長してほしいと願っています」