イケア、H&M、パタゴニアの英断

 ウイグルの人権侵害に直接・間接に加担していないか――。世界中のアパレル企業に、刺さるような視線が向けられる中、グローバルトップブランドの動きは早かった。

 アディダスやH&M、イケア、ナイキといったグローバル企業が参加する国際NGO「ベター・コットン・イニシアティブ」(BCI)は20年3月に、「信頼性の高い認証やライセンスに適さない」として、ウイグル産のすべての綿花から、認証シールを撤回した。これにより、イケアやH&Mはサプライチェーンにおけるウイグル地区からのコットンの購入停止を決定している。

 パタゴニアも、前述の英BBCの番組や米国によるウイグル関連中国企業への禁輸措置発表と同じ週の7月23日には、新彊ウイグル地区からの素材調達をやめることを表明している。

 他方、無印良品が19年5月(くしくも米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」がウイグル強制労働問題を報道した翌日)に発表した「新疆綿」シリーズは、現在も店頭で扱われている。これに対して、オーストラリア公共放送ABCや英BBCは「波紋を呼んでいる」と注視している。

 明らかに、グローバル企業と日本国内企業の間には温度感があるといえるだろう。

最後に残った
パナソニックへの疑い

 だが特定非営利活動法人日本ウイグル協会によれば今、日本で「悪目立ち」しているのは、アパレル企業ではなく、パナソニックや日立製作所といったエレクトロニクス企業なのだという。

 ウイグル問題で日本のエレクトロニクス企業が疑いの矢面に立ったのは、20年3月、オーストラリアの安全保障シンクタンク「オーストラリア戦略政策研究所」(ASPI)の調査報告書の指摘によるものだ。

 報告書のタイトルは「売りに出されたウイグル人~新疆を越える再教育・強制労働・監視」(UYGHURS FOR SALE, ‘Re-education’,forced labour and surveillance beyond Xinjiang)。これまで指摘されてきたウイグル自治区の中でも、人権問題だけでなく、中国当局が「再教育」後のウイグル人を中国各地に強制移送している点を指摘している。

 中国各地でウイグル人の強制労働を下請けのサプライチェーンなどで使っている主要企業として合計82社が挙げられ、この中に日本企業12社の名前が記されているのだ。

 この12社(ブランド)が、日立製作所、ジャパンディスプレイ、三菱電機、ミツミ電機、任天堂、パナソニック、ソニー、TDK、東芝、ユニクロ、シャープ、無印良品だ。

 日本ウイグル協会は20年5月に、上記の日本企業の社長宛てに書簡を送り、この「疑い」について質問と要望を伝えたところ、8月までに、1社を除いた11社からは回答があった。

 そして唯一、回答がなかった企業がパナソニックなのだ。

 日本ウイグル協会はパナソニックが唯一の未回答である件につき、あらためて声明を出すよう検討しているという。