何歳までこの会社で働くのか? 退職金はどうもらうのか? 定年後も会社員として働くか、独立して働くか? 年金を何歳から受け取るか? 住まいはどうするのか? 定年が見えてくるに従い、自分で決断しないといけないことが増えてきます。
会社も役所も通り一遍のことは教えてくれても、”あなた自身”がどう決断すれば一番トクになるのかまでは、教えてくれません。税や社会保険制度の仕組みは、知らない人が損をするようにできています。
定年前後に気を付けるべき「落とし穴」や、知っているとトクする裏ワザを紹介したシニアマネーコンサルタント・税理士の板倉京先生の話題の著書「知らないと大損する!定年前後のお金の正解」から、一部を抜粋して紹介します。本書の裏ワザを実行するのとしないのとでは、総額1000万円以上も「手取り」が変わってくることも!

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「年金を少しでも増やしたい」と考えているならば、おすすめなのがiDeCo(イデコ)(個人型確定拠出年金)です。iDeCoは、自分で作る私的年金です。公的年金は、保険料を渡して国に運用を任せていますが、その運用を自分で行うのがiDeCoです。

 iDeCoは、はっきり言って公的年金よりもよい仕組みだと思います。

 公的年金は、国の一存で制度がコロコロ変わり、もらえる金額もよくわかりません。

 また、早死にすると払った保険料相当分の年金さえ受け取れない可能性もあります。

 それに対して、iDeCoは、自分の口座で運用をしますから、ネットなどで常に今の資産状況を把握することもできますし、万が一受け取る前に死んでしまったとしても、口座の中にある財産はすべて遺族の方が受け取れます。

 保険料は、公的年金と同様全額所得控除できますし、運用益や配当に税金もかかりません。国の年金制度なんて、あてにできないと思っている人にもiDeCoはおすすめです。

 私も、10年ほど前からiDeCoで積み立てをしています。毎月2万5000円ほどを積み立てて、積み立てた金額のトータルが300万円程なのに対して、今の資産額は500万円超です。

 これだけ、増やすことができたのは、iDeCoが「ドルコスト平均法」で資産を運用しているからです。つみたてNISAとよく似ていますが、違いは、iDeCoなら掛金が所得控除できるという点です。

 私の場合、毎年30万円ほど積み立てたiDeCoの掛金が全額所得控除され、年間9万円程度の節税ができました。10年間での節税額はトータルで90万円以上です。これだけの節税効果があれば、万が一運用がうまくいかなくても怖くないとも言えます。

 iDeCoは利益や配当に税金がかかりません。通常は、資産運用で利益や配当が出ると、そこに20%程度の税金がかかります。200万円の利益を確定すれば、40万円程度が税金ですが、iDeCoなら儲けた分も含めてすべて、自分のものにすることができます。

iDeCoには制約も

 おトクなiDeCoですが、加入年齢・掛金・受け取り年齢に制約があります。

(1)加入年齢は60歳まで
 現状の制度では、iDeCoで積み立てができるのは60歳までです。ですから、58歳の人がiDeCoを始めたとしても、2年間しか加入できないので、「今さらiDeCo……」という感じでした。でも、2022年5月以降iDeCoの加入年齢の上限が65歳まで引き上げられることになりました(基本サラリーマンのみ)。

 ですから、「あと少ししかない」とあきらめないで、50代の方にもiDeCoを活用してもらいたいと思います。

(2)掛金
「そんなにメリットたくさんなら、iDeCoでバンバン積み立てをしたい」ところですが、iDeCoにかけられる金額は、サラリーマンで月額5000~2万3000円の間まで、自営業者は、月額5000~6万8000円の間までです。

(3)受け取り年齢
 iDeCoは、早くても60歳になるまで、受け取ることができませんし、かけている年数によっては受け取れる年齢が決められています。若い人には、この点が好まれないようですが、もともと私的年金づくりのための制度ですから、仕方ありません。

 「ドルコスト平均法」で積み立てるiDeCoは若いうちから始めるほど資産を増やすことができます。

 受け取れる年齢をすぎたあとは、受け取り時期を選べます(現状70歳まで。2022年4月から75歳までになる予定)。ですから、運用している商品の値が下がっている時に無理して売却する必要はありません。値動きをみて、良いタイミングを選んで受け取ることができます。

 iDeCoは、一括で受け取ることも年金として受け取ることもできます。一括で受け取れば、退職所得、年金で受け取れば雑所得です。これは、本書で説明している企業型の確定拠出型年金と同じ仕組みです。節税のことも考えて受け取り方を決めましょう。

まずはiDeCoの口座を作ることから

 iDeCoの口座は銀行・証券・保険会社などで作れます。手数料は金融機関ごとに違うので、手数料の安いところを選びましょう。口座ができたら、運用する商品を決めます。運用商品は、リスクの高いものから、元本保証の定期預金タイプまで様々あって悩みますが、いくつかの商品に分けてリスク分散することもできます。

 運用中も手数料がかかりますので、運用商品も手数料の安いものを選ぶといいでしょう。