日本を支えてきた団塊の世代も、今や70代。
まだ先は長いとはいえ、「死」が頭をよぎるのも、また現実だ。
さて、いかにして人生をまっとうするか。
どんな肩書きも外して、『死ぬまで上機嫌。』がいちばんいい。
人生は考え方次第。
苦労の多い人生だったとしても、
「まあ、これでいいか」
と思えれば、万事解決。
終わりよければすべてよし、なのだ。
新型コロナウイルスの感染拡大を経験するなど、
「いつ死んでもおかしくない」という状況を目の当たりにしている。
ただ、いつ死ぬかわからないからといって、怯えてばかりいても仕方がない。
どんな状況を目の当たりにしても
「まあ、これでいい」「こういうこともあるだろう」
と鷹揚に受け入れられる自分でいたい。
そして、やはり『死ぬまで上機嫌。』でいたい。
漫画家・弘兼憲史が「そのとき」が来るまで、
存分に人生をまっとうする上機嫌な生き方を指南する。

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振り返ってみると、僕は幸せな人生を歩んできた。そう思います。

日本が右肩上がりの時代に社会に出て、右肩上がりの好景気だった頃の空気も吸い、好きな漫画の仕事を長く続けることができ、仕事仲間や家族にも恵まれ、不自由のない生活を送ってきました。

もちろん、自分一人ですべてを成し遂げたとは思っていません。

ただ、幸運が積み重なった70年という月日の流れに、心の底から感謝するばかりなのです。

その中で、唯一僕が守り通してきたものがあるとすれば、「やりたいことはやったほうがいい」というスタンスです。

70歳をすぎた今、自分がやりたいことを追い求める意欲は衰えるどころか、ますます「やりたいことはやっておこう」と前向きに考えるようになっています。

人生はたった一度きり。

やり残したことを「ああすればよかった」と思い返すくらいなら、「これはやっておこう」と前を向いたほうがいい。そうじゃないですか。

人生のおもしろさとは、それに不可思議さとは、「ゴール」(つまり死)を迎えるのは確実であるのに、そのゴールがどこにあるのか見当がつかないところです。

もし、人生がマラソンコースのようだったら、どうでしょう。

「あと10年でゴール、あと5年、あと3年……」という具合に、確実にゴールが見えているので、ゴールに備えて計画的に物事を進めていくことができます。

けれども、実際には、ゴールの位置をはっきり見通せるわけではありません。

平均寿命などのデータを見れば、なんとなく「90歳くらいまで生きるかもしれない」と思えるかもしれないですが、実際には100歳まで生きる可能性もありますし、明日寿命を迎える可能性だってあります。

前者は42.19kmを超えて、さらに先のゴールを目指して走り続けるようなイメージであり、後者は30kmくらいで突如、道をさえぎられるようなものです。

生というマラソンでは、誰もがゴールを予期できるわけではありません。

でも、だからこそおもしろいのです。

不透明なゴールテープを目指して、自分の好きなようにマイペースで進んでいけばよいのです。