「頭がよくなる」「運動神経がアップする」「認知症を予防できる」「集中力が高まる」「ストレスが減る」「記憶力が増す」など、人間の能力が飛躍的に向上する唯一無二のメソッド「ライフキネティック」。新しい動きを次々とすることで脳のネットワークを増やし、脳が活性化する手法だ。1日10分、1週間で60分でやればOK。「間違えることがいい」という驚異的な脳トレ『Life Kinetik® 脳が活性化する世界最先端の方法』が刊行! 今回は、国民病1位を引き起こすストレスをどう脳が処理をするかに注目。同じ事象でもポジティブに受け取る人がいれば、ネガティブに受け取る人もいます。脳がどう受け取るかがすべて。では、脳はストレスとどう向き合うべきなのか、本書の一部を抜粋して紹介する。

【あなたの脳はどっち派?】脳はストレスとどう戦っているのか?Photo: Adobe Stock

ストレスを減らす方法

 ストレスは、基本的に悪いものではありません。むしろ、ストレスは人間が生き延びるために必要なものなのです。

 狩猟や木の実などの採集のみで食料を手に入れていた時代には、敵に襲われそうになったときに闘ったり逃げたりする身体の反応、いわゆる「闘うか逃げるか反応」は生死にかかわるほど重要でした。

 たとえばライオンに遭遇したときに、身体はストレスホルモンを一瞬のうちに全身にかけ巡らせ、すばやく「闘うか逃げるか」の反応を起こすことができるようにしていたのです。

 しかし、ライオンに槍を射った後は安心して、ストレスホルモンの分泌量は正常になり、落ち着いてきます。現代でも、命にかかわる事態に見舞われ、それを乗り越えようとするときには、同じ反応が起きます。つまり、ストレスはよいものでもあるのです。

 ただ、現代では、ストレスは国民病を引き起こす原因の第1位です。過度のストレスが原因である病気は、高血圧や睡眠障害、さらに血管の狭窄、胃酸過多、疲労困憊、燃え尽き症候群、心筋梗塞など数多くあります。

 技術者疾病金庫〔医療保険金庫の1つ〕が2015年に実施した調査によると、ドイツでは精神疾患による欠勤の日数は2006年から急激に増加しており、精神疾患が欠勤原因の第2位となっています。

 つまり、ストレスを生じさせる事態が絶えず起こると、ストレスホルモンの分泌量がほぼずっと高いままで調整されることがないため、自然な心拍変動〔脈と脈の間隔が短くなったり長くなったりすること〕が保たれず、つねに「闘うか逃げるか」モードになっているのです。

 では、こうした場合にどうすればいいのでしょうか? 「ストレスを和らげるべきだよ」と気遣ってもらえると確かにうれしいですが、そのような人から実際に何かしてもらえるのでしょうか? あるいは、自分で簡単にストレスを和らげることができるのでしょうか?

 いいえ、おそらく簡単にはできないでしょう。ストレスに対応する身体のシステムが、これまでネガティブなストレスを生じさせていた状況について、ストレスを生じさせない状況と判断できるようにならなければいけないのですから。ここでちょっとした例を挙げてみましょう。

 あなたが幹線道路で車を運転し、前を走っている車を追い越そうとして反対車線に出たとします。しかし、反対車線を走っているあなたの車が、追い越そうと思っている車とほぼ横一列に並んだとき、向かいから予想以上のスピードで車が走ってきました。ハラハラする瞬間です! 元の車線にうまく戻れるでしょうか?

 アクセルを思いっきり踏み、うまくいけと願います! 何とか元の車線に戻れて、事故を起こさずに済みました。もちろん、向かいから走ってきた車はすごい勢いであなたにパッシングをし、元の車線を走っていた車も、あなたに危険な横入りをされたとパッシングをしてきました。

 さて、この場合の心理状態には2パターンあります。このパターンのどちらに当てはまるかで、あなたのタイプがわかります。

 1つ目は身体中が震えて、頭に血が上り、脈が非常に速くなり、心筋梗塞を起こす一歩手前の状態になる。

 2つ目はわりとリラックスしており、満足げな笑みを浮かべ、心の中でこぶしを上げて「いや~、すごくうまくいった! こうでなくては!」とつぶやいている。

 1つ目のパターンは、ストレスホルモンが過度に分泌され、非常にストレスを感じている状態です。

 2つ目のパターンは、アドレナリンも分泌されていますが、比較的リラックスしており、自分の運転テクニックに興奮している状態です。

 この2つの心理状態を起こした状況は、どちらもまったく同じですから、状況自体がネガティブなストレスを生み出しているのではないといえます。

 誰もが自分一人で、それ自体はニュートラルである状況からネガティブなストレスを引き起こすシナリオや、ネガティブなストレスを引き起こさないシナリオをつくっています。ただ通常、これは意図して行なわれるものではなく、身体の中で自動的に起こります。

 しかし、ライフキネティックのトレーニングを行なうと、ネガティブなストレスを引き起こさないシナリオをつくることができるようになるのです。

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