脳科学本を読むことは
ミステリーを読むことに似ている
本書『「人間とは何か」はすべて脳が教えてくれる: 思考、記憶、知能、パーソナリティの謎に迫る最新の脳科学』は、本国ノルウェーで「彼女こそが脳の脳だ」と評されている、著名な神経科学者が書いた世界的ベストセラー“脳科学本”である。世界21カ国で翻訳出版されている。本書がこれほど多くの読者を獲得できたのは、日々の出来事を使って科学を説明しているからだろう。読み手は、そこから具体的な思考を巡らすことができるのだ。
例えば、この本で紹介される脳科学の最新研究には、次のようなものがある。「タクシー運転手は、記憶を司る海馬が発達している」「人工甘味料では脳を欺けない。逆に糖分を欲し、炭水化物を摂らせようとする」「眉間の“怒り筋肉”にボトックス注射をすると顔がリラックスし、90%が抑うつ状態から解放された」など。つい引き込まれてしまう。
近年、脳科学分野から次々とベストセラー書が生まれているのは、脳という臓器が未だ多くの謎に満ちているからだろう。「私たちとは何者なのか?」「その人らしさとは?」「パーソナリティとは何か?」…脳をめぐる謎は尽きない。脳科学本を読むことは、ミステリーを読むことに似ている。その点に関連して、著者の言葉を引用する。