アマゾンへの逆風と反発の強まり
もちろん、すべてがスムーズに進んでいるわけではない。パンデミック前、アマゾンはプライム会員向けに、100万点以上の商品を1日で配送する方向に動いていた。迅速な配送は低価格と相まって、アマゾンを世界で最も価値のある企業の一つにしていた。
しかし、混雑した倉庫の中で作業する従業員たちの感染を防止する必要性が生じたことから、アマゾンの配送スピードは低下した。ヘルスケア製品、家庭用品、食料品などの必需品は配達に4日もかかり、それ以外の商品の中には1週間以上かかるものもあった。
またアマゾンは、配送センターの従業員とドライバーたちをウイルスから守る対策が十分なスピードで講じられていないとして、一部の従業員、労働組合、政治家から批判された。アマゾンは、ほかの多くの小売業者と同様、十分な安全対策を講じていないことに対し、たしかに非難を受けるべきだ。
しかしベゾスは、この問題を解決するために、大胆な行動を見せた。約40億ドル〔4200億円〕を費やして(この額はアマゾンが第2四半期に予想していた利益を上回る)、配送・倉庫システムの再設計と安全性の向上を図ることを発表したのだ。
アマゾンは、すべての従業員にマスク、手の消毒剤、COVIDー19の検査を実施した。また、AIシステムを実験的に用いた。それは従業員の作業着の袖の部分にデバイスを付けてもらい、お互いが接近しすぎると、デバイスのライトが点灯したり、警告音を発したりするというものだった。
パンデミックの間も成長し、さらに新たな市場や業界への進出が想定されることから、各国政府のアマゾンに対する独占調査に拍車がかかるかもしれない。
これについては、テスラのCEOであるイーロン・マスクでさえ、具体的な行動に出た。「パンデミックは誇張されている」(これはマスクのお気に入りの議論だ)と主張する本の販売をアマゾンが拒否したと言われていることにマスクは憤り、「正気の沙汰ではない @JeffBezos」とツイートしたのである。それに続けて、「アマゾンを解体するときが来た。独占は間違っている!」とツイートした。