チームメートはライバル、出場機会に飢えたメンバーの向上心

 もはや優勝は当然で、どれだけの記録を伴うのか、という点に興味や関心が移りつつある。ただ、Jリーグの歴史上で最強チームと呼ばれても不思議ではない快進撃も、なかなか出場機会を得られない選手たちが、ちょっとでも不平不満を抱いてしまえば成し遂げられなかったはずだ。

 真夏の太陽が容赦なく照りつけていた8月19日。セレッソ大阪との首位攻防戦を数時間後に控えた午前中に、エースストライカーの小林悠は川崎市麻生区にあるフロンターレの練習グラウンドを散歩で訪れた。図らずも見かけた光景に心を震わせ、必勝を誓った思いが5-2の快勝を導いた。

「試合に絡めない選手たちがあれだけ頑張っているのを見て、試合に出る選手たちがやらないわけにはいかない、と思いました。それほどチーム全員が、誰一人として現状に満足していないので」(小林)

 練習グラウンドでは日本代表経験のあるFW齋藤学やMF山村和也らが、大粒の汗を流しながらランニングしていた。復調を果たした齋藤は11連勝の間、7度の先発を果たし、山村は5-1で圧勝した9月13日のサンフレッチェ戦で豪快なロングシュートをゴールに突き刺している。小林はこう語ってもいた。

「オニさん(鬼木監督)がうまく選手を代えながら、コントロールしてくれている。主力を固定して戦うチームが多い中で、ウチの前線の選手は90分間出る選手がほとんどいない。なので、次の試合に疲れを残すことなく、しっかりと回復して臨めていることが大きい」(小林)

 ここまでの24試合、計2160分間にフル出場しているのはGKチョン・ソンリョンの1人だけ。MFおよびFWでは東京五輪世代のMF田中碧の21試合、1509分間(69.9%)が最多で、チーム最多の12ゴールを挙げている小林は20試合、1033分間(47.8%)という数字になっている。

 誰もが試合出場に飢えている中で、小林は左太もも裏を痛めて無念の離脱を余儀なくされた。センターFWを争っていたレアンドロ・ダミアンに加えて、念願のJ1初ゴールを挙げている20歳の宮代大聖、FWでもプレーできる山村が穴を埋める中で、小林も自身のインスタグラムに上半身のウエートトレーニングに励んでいる写真と、早期復帰へ執念を燃やすコメントを掲載している。

「シーズン終盤の一番おいしいとこを、自分が全部持っていく準備はできています」

 長期中断をポジティブに転じさせて厚くなった選手層の中で、チームメートと書いて「ライバル」と読ませる関係へと昇華させた、首脳陣の選手起用が歴史的な強さの源泉になったが、それでもフロンターレはまったく満足していない。今月7日のYBCルヴァンカップ準決勝で完敗を喫し、連覇の夢を絶たれたFC東京をホームに迎える、31日の次節でのリベンジにまずは全力を注いでいく。