使われた価値の90%は、
全体の10%の価値(利益)しか生まない
林教授 業績は利益、コストは費用のことだ。つまり本来、費用は価値を生成するために使われなくてはならない。ところが、使われた価値の90%は、全体の10%の価値(利益)しか生成しない。
カノン 確かにそうですね。営業担当者を増やせば給料は増えますし、思い切った広告を新聞に掲載するとびっくりするほどの広告料がかかります。でも、利益は期待した以上には増えませんものね。
林教授 ここまで来れば、損益計算書の利益の意味はわかったと思うが。
カノン そうですね。一定期間の価値の増加額から同じく一定期間の価値の消費額を差し引いた金額です。でも、対応関係は疑わしい。
林教授 そうだね。つまり損益計算書の利益は、その期間に生成された価値の大きさを表しているのであって、同額のお金が増えたというわけではない。
=期間利益(生成した価値)
カノン 利益ってお金の額だと思っていましたけど全然違うんですね。そもそも期間収益が現金入金ではありませんものね。だんだんわかってきました。もっと知りたいんですけど。
林教授 まあまあ先を急がない。もっと深い話は貸借対照表とキャッシュフロー計算書のレクチャーで詳しくしよう。
公認会計士、税理士
明治大学専門職大学院 会計専門職研究科 特任教授
LEC会計大学院 客員教授
1974年中央大学商学部会計学科卒。同年公認会計士二次試験合格。外資系会計事務所、大手監査法人を経て1987年独立。 以後、30年以上にわたり、国内外200社以上の企業に対して、管理会計システムの設計導入コンサルティング等を実施。2006年、LEC会計大学院 教授。2015年明治大学専門職大学院 会計専門職研究科 特任教授に就任。著書に、『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?』『コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?』『新版わかる! 管理会計』(以上、ダイヤモンド社)、『ドラッカーと会計の話をしよう』(KADOKAWA/中経出版)、『ドラッカーと生産性の話をしよう』(KADOKAWA)、『正しい家計管理』(WAVE出版)などがある。