累計38万部超のベストセラー餃子屋と高級フレンチ』シリーズでおなじみの著者・林 總氏の最新刊『たった10日で決算書がプロ並みに読めるようになる! 会計の教室』が9月29日にダイヤモンド社から発売になりました。本連載では、同書の中から抜粋して決算書を読み解くために必要な基本の知識をお伝えしていきます。登場人物は、林教授と生徒の川村カノンの2人。知識ゼロから始めて、いかにして決算書を読み解くスキルを身につけていくのか? 川村カノンになったつもりで、本連載にお付き合いください。

コストの90%は、業績を生まない90%から発生する。業績とコストとは関係がないPhoto: Adobe Stock

期間費用とは、消費した価値のこと

林教授 次は期間費用を考えてみよう。パンケーキ店の商売をするには、食材、従業員、お店、電力、水が必要だ。では、費用はいつ生じるだろう。

カノン 代金を支払った時ではないのですか?

林教授 違うんだな。会計では、これらの価値を消費した時に費用となる。例えば消費した材料が材料費、消費した時間が労務費、消費した電力量が光熱費といったようにね。

カノン 私、材料費、労務費、経費って、それらに支払ったお金のことと思っていましたけど、違うのですね。

林教授 消費と支払いのタイミングは同じではないからね。

カノン 消費した価値って、使った価値と言い換えてもいいでしょうか。こちらのほうが私にはわかりやすいかも。

林教授 その考えでいい。パンケーキ店で言えば、一定期間で使った食材の量、従業員が働いた時間、そして使った電力量などを金額に置き換える。これが期間費用だ。つまり、期間費用は一定期間で消費した価値の総額であって支払ったお金ではない。