累計38万部超のベストセラー『餃子屋と高級フレンチ』シリーズでおなじみの著者・林 總氏の最新刊『たった10日で決算書がプロ並みに読めるようになる! 会計の教室』が9月29日にダイヤモンド社から発売になりました。本連載では、同書の中から抜粋して決算書を読み解くために必要な基本の知識をお伝えしていきます。登場人物は、林教授と生徒の川村カノンの2人。知識ゼロから始めて、いかにして決算書を読み解くスキルを身につけていくのか? 川村カノンになったつもりで、本連載にお付き合いください。
売上高総利益と売上高総利益率とは
林教授 損益計算書の着眼点は利益と利益率にある。最初に、売上高総利益と売上高総利益率について説明しよう。当期の売上高から売上原価を引いた金額が売上高総利益。そして、この売上高総利益を売上高で割った値が売上高総利益率(粗利率)だ。
カノン これらはどのような意味があるのですか?
林教授 一言でいえば「商品力」だね。会社の商品が価値を生み出す力を表している。同じ業種であれば、商品力が勝る会社ほど高い価格で売れる。
カノン ルイ・ヴィトンのバッグが、無名の会社が作るバッグより高いのは「商品力」が高いからですか?
林教授 その通り。商品力は品質、デザインの優秀さ、それから商品の歴史と伝統を反映している。メルセデス・ベンツやロレックスの価格が高いのも、同業他社と比べて商品力が優っているからだ。その価値が顧客を惹きつけるわけだ。特に、売上高総利益率を比較すれば会社間の商品力の違いがはっきりわかる。
カノン 便利ですね。
林教授 だが、この比率は万能ではない。商品力はあくまでも同業種間の比較であって、異業種間で比較するものではない。
カノン どういうことですか?
林教授 一例をあげれば、王将フードサービスの売上高総利益率は約63%で、トヨタ自動車は約18%だ(ともに2019年度)。だからといって、餃子定食がレクサスより優れているわけではない。そもそも比較することに意味がない。
カノン それは、そうですよね。