累計38万部超のベストセラー餃子屋と高級フレンチ』シリーズでおなじみの著者・林 總氏の最新刊『たった10日で決算書がプロ並みに読めるようになる! 会計の教室』が9月29日にダイヤモンド社から発売になりました。本連載では、同書の中から抜粋して決算書を読み解くために必要な基本の知識をお伝えしていきます。登場人物は、林教授と生徒の川村カノンの2人。知識ゼロから始めて、いかにして決算書を読み解くスキルを身につけていくのか? 川村カノンになったつもりで、本連載にお付き合いください。

会計は価値の増加が確定したタイミングを重視するPhoto: Adobe Stock

3月31日に納品した商品の売上は、いつ計上されるの?

林教授 では、損益計算書の前半の復習から始めよう。会社が商品を顧客に売ることで、それまで幻想だった価値は現実となる。このことから、期間収益は1年間に増加した価値の総額ということができる。

カノン つまり、会社が作った商品の価値が「実現」したのですね。

林教授 君は会計の才能があるね。

カノン 才能だなんて、おだててもダメですよ。

林教授 会計では増加した価値が確定することを「実現」というんだよ。

カノン そうなんですか。

林教授 売上高には、商品だけではなく、サービスも含まれる。例えばテーマパークの入場料、病院の診療報酬もそれぞれの会社の売上だ。

カノン わかりました。でも、なぜ価値が確定した時点にこだわるのでしょうか。

林教授 会計は価値の総額が確定したタイミングを重視するんだよ。つまり、どの会計期間の売上とするかが問題なんだ。これをカットオフ(期間帰属:当該会計期間を区切ること)というんだ。

カノン どういうことですか?

林教授 説明しよう。