「ドラフト廃止」を誰も言い出さない、後ろ向きな球団事情Photo:Alex Trautwig/gettyimages

巨人のドラフト大量指名は戦略か

 プロ野球ドラフト会議は10月26日に開催された。

 夏の甲子園が中止になった影響で、高校生の目玉選手がいなかった。実際には例年同様に逸材がいたはずだが、甲子園で活躍して一躍日本中の人気者になるような選手が生まれなかった分、イベントとしての盛り上がりを欠くドラフトだった。

 そんな中、巨人が育成選手12人を含む計19人もの大量指名をした。これは過去最多の人数だが、あまり議論の的にはなっていない。だがこれは新手の「ドラフト破り」にも近い、巨人の一大戦略かもしれないのだ。

 育成枠は、かつての「ドラフト外の位置づけだ」とあるスカウトが教えてくれた。現行のルールでは、ドラフトで指名しなければ新人選手と契約できない。「ドラフト外」は認められないため、育成で指名する必要がある。育成で囲い込んでしまえば、他球団は手が出せなくなる。