引きこもり状態にある本人から、助けを求める1通のメールが筆者の元に届いた。「食べ物を玄関に取りに行くのもつらい」「死ぬのが怖い」と語るその人は、「引きこもらされている」といえる状況に陥っていた。悲痛な叫びと、その実態を知っていただきたい。(ジャーナリスト 池上正樹)
「至急たすけてください」
筆者に届いた1通のメール
筆者の元には毎日、引きこもり状態にある本人や家族などから、記事の感想などのメールが届く。中には長々とつづられた文面もあり、すべての送信者に返信できる余裕はないものの、緊急性が高いと思われる相手には優先的に状況を聞くようにしている。
「至急たすけてください。身寄りがなく天涯孤独で死にそうなのですが、行政などまったく対応してくれません」
男性の名前で送られてきた、そんな短い1文が気になり、「どうされましたか?」と返信してみた。
メールの送信者は、千葉県在住のA子さん(40歳)であることが分かった。メールの名義は、4年前に自殺した父親の名前だという。
A子さんは、母親も昨年、難病で亡くした。重度の強迫性障害、身体表現性障害、うつ病などを患い、パニック障害があるために外に出たくても外出することができない。婚約者がいたものの、突然アパートを出ていってしまい、その後連絡は一切取れないという。