前述の通り、第一生命には一度は調査に着手していながら問題を見抜けなかったという瑕疵(かし)があるし、調査後も被害が続いていたという事実は強く非難されるべきで、責任も重いと言える。

 また、報告書では原因について「管理・教育体制と不適行為についての予兆把握・モニタリング体制について不足があった」と責任を認めているのだから、やはり弁済するのが筋だろう。

 ただし、株主からも説明を求められるのは必至で、元社員に対しても懲戒免職処分にしたとは言え、刑事的責任を追及しなければならないのは当然のことだ。

被害金弁済の名目をどうするか

 第一生命は元社員を告発したが、メディアでよく言われる「告発」と「告訴」は刑事訴訟法上、意味が違うことは御存じだろうか。

 平たく言えば、告訴は被害の「当事者」、告発は直接の被害者ではない犯罪事実を認知した「他人」が捜査機関に訴えることだ。

 告訴は刑事訴訟法上、告訴権者が捜査機関に犯罪の事実を申告し、訴追を求める意思表示のことだ。 告訴権者とは直接の被害者、または被害者の法定代理人を指す。

 法定代理人とは、被害者が未成年の場合の親権者や成年後見人で、被害者が殺害された場合は配偶者や親族、兄弟や姉妹も告訴権者になることが可能だ。

 告発とは、告訴権者と犯人以外の人が、捜査機関に犯罪の事実を申告し、訴追を求める意思表示をすることだ。つまり、告発は事件と無関係な人でもできる。

 もちろん、誰が行ってもいい権利ではあるが「○○が気に入らない」などの理由でありもしない事実をでっち上げて告発することはご法度だし、捜査当局も受理するか否かはもちろん精査する。

 事実と異なる容疑で「告訴しました」などと記者会見でもしようものなら、逆に名誉棄損罪で訴えられるので、乱用することは慎まなければいけない。

 何が言いたいかと言うと、第一生命は今回の問題で直接の被害者ではなく、告訴権者は現金を詐取された顧客ということだ。