「菅首相の金融ブレーン」の最右翼として熱い視線を集めるのが、竹中平蔵・慶應義塾大学名誉教授だ。
竹中氏と菅氏は、2005年からの第3次小泉改造内閣の総務大臣と副大臣として、共に郵政民営化に着手した。また直後の第1次安倍内閣で、菅総務大臣(当時)の下でふるさと納税の制度設計に携わった高橋洋一氏は、菅政権で内閣官房参与に指名されている。
竹中氏は現在、政府直轄の「成長戦略会議」のメンバーに名を連ね、中小企業の淘汰推奨派であるデービッド・アトキンソン氏と一緒に新政権の航路を決めている。
竹中氏が社外取締役を務める、インターネット金融大手のSBIホールディングス(HD)の北尾吉孝社長は、言うまでもなく再編劇の主役の一人だ。
昨年来、「第4のメガバンク構想」と銘打って経営不振の中小地銀に続々と出資。北尾氏は、会食の場や電話で菅氏と議論を交わしたことを隠さずアピールするが、まさに“わが意を得たり”というところだろう。
SBIHDには今、地銀支援に携わる地方創生パートナーズの長谷川靖事務局長をはじめ、金融庁OBが集結している。「金融庁がサポートしているわけではない」(金融庁幹部)というが、後方支援をしているのではないかと地銀側は警戒する。
金融庁に集う地銀改革“三銃士”
地銀協会長は菅氏と地元つながり
さて当の金融庁でいえば、今年長官に就任した氷見野良三氏は、国際的な金融規制の会議で日本人初の事務局長を務めるなど生粋の国際派だ。
経験が不足する地銀の領域については、大手地銀を中心に頭取とのオンラインミーティングを重ねるのみならず、第二地銀など中小地銀の頭取を金融庁に招いて実態把握に努めている。
氷見野氏が目指す姿は、“脱・説教庁”だ。地銀に対する説教をやめるということではない。頭取が一堂に会する場で、統一したメッセージを投げ掛けることをやめる代わりに、100行以上ある地銀それぞれへの個別指導が目標だ。残念ながら、監督の姿勢が「甘くはならない」(別の金融庁幹部)。
実際の地銀との対話の場に駆り出される金融庁幹部が、監督局にいる経験豊富な“三銃士”だ。