1人目が石田晋也参事官。以前に地銀を監督する銀行第二課の課長の経験があり、昨年から地銀の総監督役である現職に就く。2人目が、現任の銀行第二課長である新発田龍史氏。3人目が広島銀行出身で、地銀支援の複数部署を兼任する日下智晴氏だ。
菅氏と金融庁といえば、菅氏は内閣官房長官時代、当時の森信親長官との間に太いパイプがあったとされる。ただ、森氏を知る複数の金融筋が「首相になってからは、菅さんと連絡を取っている様子はない」と口をそろえる通り、今は距離感があるようだ。
むしろ氷見野氏こそ、地銀改革などに対する金融庁の主張を押し通す上で、菅氏との関係性が問われるだろう。
今年、業績不振の地銀の統合に限り独占禁止法の適用を除外する特例法案が可決・成立した。その独禁法をつかさどる公正取引委員会の委員長に就任した古谷一之氏も、内閣官房において菅氏とは上司と部下の関係だった菅人脈だ。
全国地方銀行協会会長という業界の顔役を務め、同時に地元横浜で菅氏とつながりを持つ大矢恭好・横浜銀行頭取は、「再編だけが手段ではない」と訴える。
だが、再編以外の手段を見いだして、劇的な経営改革を実現している地銀は数少ない。いまだかつてない再編包囲網の中、次なる好手を放てるか否かが試されている。