『週刊ダイヤモンド』10月10日号の第1特集は『地方エリートの没落 地銀・地方紙・百貨店』です。各地の地域経済を牛耳ってきた地方銀行、地元世論を形成してきた地方紙、そして老舗の暖簾を武器に商業地の顔役を果たしてきた地場百貨店――。時代の変化に対応しきれず没落の危機にある地方エリートの現状を追いました。

ちらつく“最強金融庁長官”の影
ランキングに見る次の地銀再編候補は?

合併が取り沙汰された地銀2行、青森銀行とみちのく銀行の「次」は?合併が取りざたされた青森銀行とみちのく銀行の「次」は? Photo by Takahiro Tanoue

 新型コロナウイルスの感染拡大により、各地の企業は製造業から接客業まで幅広く影響を受けた。今こそ地域金融機関による地元経済の下支えが死活的に重要である。

 一方で地方銀行については長年、オーバーバンキングであると指摘され、弱小地銀の経営破綻による混乱を避けたい金融庁は統合・再編をもくろんできた。だが、各地で地銀の頭取といえば“殿様”のような存在。簡単に自分の地位と“領地”を手放すわけがなく、再編は遅々として進まなかった。

 ところが9月、安倍晋三前首相の突然に退任により、かねて地銀再編を持論としてきた菅義偉氏が首相に就任。国会での首班指名よりも早い自民党総裁選挙の段階で地銀再編の必要性に言及した。

 内閣人事局を通じて官僚支配を確立したとされる“コワモテ”新首相に地銀は戦々恐々。すでに青森県の青森銀行とみちのく銀行2行の再編が取りざたされた。菅首相の地銀再編論の裏側には、官房長官時代から重用してきた「史上最強」ともうたわれた元金融庁長官、森信親氏の影がちらつくと見る向きもある。

 今特集では、金融庁が問題視する収益性低迷、コロナ禍に伴う企業倒産地獄がもたらす財務健全性の悪化、さらにかつて金融庁が試算した都道府県別の「存続可能地銀数」という三つの観点から、地銀103行を独自にランキング。次なる再編の可能性が高い地域と銀行を占った。