心から関わること
社会的運動からイノベーションまで、多くの偉大なる企てはストーリーから始まる。人間は合理的な生き物なので、概念やアイデア、プログラムについての量的評価さえ与えれば、その後は自ずと論理が説得するはずと信じがちだ。
もちろん、ファクトや数字は我々の脳を虜にする。だが、それだけで我々の心は捉えられない。提案があったとして、論理的に非の打ちどころがないという理由でそれに同意したり、少なくともやってみようと思ったりするかもしれないが、その論理はエネルギーを与えてくれるだろうか?
そんなことは稀だ。一方、ミームや運動に心躍らされ、夢中になり、自分が価値ある存在だと感じられる時には、論理などそっちのけで飛び乗るのだ。
だから、もし心底チームにアクションを促したいのならば、ストーリーに引きつけるのが一番だ。自分たちもビジョンの一部だと、彼らが想像し理解できるようになれば、そのストーリーをファクトや数字で裏づければいいのだ。
チームを全く新しい方向に導いているのならば、そもそもファクトや数字がないかもしれない。あるのは計画だけだ。新規の製品をつくっていたり、新しい教育的な仕組みを生み出そうとしていたり、研究プログラムを打ち立てようとしている場合も、共有できる量的なデータが存在しない。
しかし、夢がある。その夢を鮮やかなストーリーに変えれば、あまりに魅力的でリアルなため、皆があなたのチームに加わってそれを共有したいと感じる。
失敗は現実の可能性としてあるだろうし、少ない報酬で(少なくとも最初は)懸命に働かなければならないこともわかっている。
他に行けばもっと楽な仕事があるだろう。それでも、ムーブメントの一部になりたいと感じるのだ。自分自身よりももっと大きく大切な何かの一部になりたいと思い、もしあなたが信頼できるのならば、あなたについていって新領域に足を踏み入れようとする。
円グラフやパワーポイントのスライドを見て、そんな企てに加わろうとする者はいない。人の心と想像力を勝ち取らなければならないのだ。どうしてもあなたのビジョンを共有したいと感じさせるのだ。