『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』が10万部を突破! 本書には東京大学教授の柳川範之氏が「著者の知識が圧倒的」、独立研究者の山口周氏も「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せ、ビジネスマンから大学生まで多くの人がSNSで勉強法を公開するなど、話題になっています。
この連載では、著者の読書猿さんが「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に回答。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら
[質問]
図書館でニッチな分野を捜索する場合はどうすればよいでしょうか?
読書猿さんの影響で図書館に行くようになったのですが、本の捜索ではなく、ジャンルを捜索する場合はどうすればよいでしょうか?
例えば、植物について調べたいときには、自然科学から植物学の棚を調べれば良いです。しかしニッチな分野(今調べたいものは野営やアウトドアスキルについての本です)はどこに分類されているのかわからないです。
ある特定の分野が日本10進法分類のうちどこにあるのか探すにはどうすれば良いでしょうか? また、ある図書館で分類されたものは全ての図書館に共通なのでしょうか?
[読書猿の解答]
いくつか紹介してみます。
【本から分類へ】
まず図書館かネットのオンライン蔵書目録を検索して一番近そうな書物を見つけます。その書物につけられた十進分類コードがお探しの分類です。
具体的にやってみると「アウトドア」「スキル」というキーワードで検索して『アウトドア大百科 : 野外活動のスキルとテクニック』という本を見つけたとしましょう。このNDCは786、もっと詳しいコードをつけているところだと786.3だと思います。
この本を見に書棚へ行けば、この本の周囲に探している分類に属する本が、たとえば『野外生活の知恵と技術』や『アウトドアー・ライフ・サイエンス:自然活動学ハンドブック』や『野外生活雑学図鑑』や『野外あそび事典』のような本が見つかります。
図書館が分類順の配架を採用しているメリットです。
【索引から分類へ】
しかし分類が知りたくなるのは、いつものやり方では目当ての本が見つからないからかもしれません。本を見つけてから分類へというやり方が使えない場合を考えてみます。
まず日本十進分類をまとめた『日本十進分類法』という書籍には相関索引の巻があります。しかし、これで「野営」「アウトドアスキル」を引いても該当項目がありません。
ここで「野営」にあたる英語がcamping(キャンピング)であること、アウトドアの邦訳が「戸外」「野外」であることが分かれば、相関索引に「キャンピング 786.3」「戸外レクリエーション 786」「野外活動 786」などを見つけることができました。
野営→camping、アウトドア→戸外、野外を自力で思いつけない場合は、必要なら辞書や百科事典に助けてもらいます。
【書誌から分類へ】
最後に私がどうやってるかを少し紹介します。
『独学大全』でも紹介しましたが、私は、探しものの最初にEPWING(電子辞書の規格)形式の辞書や事典をコンピュータ上でまとめて検索しています。
その中に『邦語文献のための参考調査便覧』という書誌(探しもの関連の書籍だけを集めたブックリスト、日本十進分類順になってます)があって、ここで「786.3 《キャンプ》」や「786.3 野外活動」という項目を見つけて、分類を知ると同時に探しものに役立つ辞典、書誌などのリストを手に入れます。
最後になりましたが、国会図書館や一部の大学図書館以外、つまり公共図書館と多くの大学図書館では、同じ日本十進分類を使っています。いずれかのやり方で日本十進コードが分かれば、他の図書館でも同じ分類で書物を探すことが出来ます。
書籍の『日本十進分類法』は個人で買う本ではないので、ネットをお使いならNDC Finderというサイトで調べることもできます。