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2020年9月、菅義偉氏が第99代内閣総理大臣に選出された。1989年に総理に就任した海部俊樹氏以来、自民党では約30年ぶりの世襲議員ではない「平民宰相」の誕生である。官房長官時代に「令和おじさん」と親しまれた一方、いまだその人間性や国家観がわからない、という向きもある。菅総理の「知恵袋」と称される経済ジャーナリストの財部誠一氏が、緻密な取材を通じてその核心へと迫っていく。(本記事は『冷徹と誠実 令和の平民宰相 菅義偉論』 より、一部を抜粋掲載しています)

菅義偉、38歳で転機
ゼロから選挙運動をスタート

 秘書時代の菅に転機が訪れたのは、横浜市に強い地盤をもつ衆議院議員・小此木彦三郎の秘書になって11年が経過した1987 年だった。

 横浜の大物衆議院議員であり、恩師の小此木に背き、自民党横浜市連も敵に回して横浜市議会議員選挙への出馬を表明したのだ。

 この代償は大きかった。