月別推移は以下の通り。

■2月「十分な感染防護対策をしないまま診療・ケアが行われた」(60%)

◎分析
 主な要因は、「感染の有無に関する患者情報が、スタッフ間で適切に共有されないまま、業務が行われる」というものだ。情報がありながら、スタッフ間の伝達ミスにより防護対策が甘くなってしまい、濃厚接触者・感染者が生まれてしまったとなれば、ヒューマンエラーの範疇であり、医療機関は管理不備を問われる可能性がある。

◎得られたこと
 第2波、第3波に向けての重要な課題が得られた。感染指導がパーフェクトであったとしても、患者情報の事務的な伝達・申し送り・引き継ぎといった業務に不備があれば、本来の効果が発揮されないどころか、時にそれはエラーと判断され得る。

 これらのエラーは個人の努力のみで克服できるものではなく、組織的対策が求められる。

■3月「対策・ルールが不明」(50%)

◎分析
「コロナ疑いの患者が来院したが、どのような手順で診ればよいのか」「基礎疾患のある職員や、その家族への対策を決めてほしい」等々のレポートから、患者対応が現実味を帯びてきているのがよくわかる。対策やルール作成、周知、浸透にはどうしてもタイムラグが生ずる。

◎得られたこと
 これらのレポートは病院にとって、極めて重要な情報と位置づけることができる。対策の伝達、浸透状況を間接的に量ることができるからである。安全部門の役割は、このようなレポートが、現場から気兼ねなく提出される状況を維持すること。匿名で報告できるインシデントレポートはパンデミック対策においても、有用なツールとなりうる。

■4月「対策・ルールが導入されたことにより新たな問題が発生した」

◎分析
「リモート診療の場で、患者を誤認した」「COVID用の特殊な挿管手技に集中するあまり、硬膜外麻酔を忘れた」など、ルールを導入したが故に発生した新たな問題を指摘するインシデントが増加していた。

◎得られたこと
 新しい医療に対し、新しいルールが導入されれば、新しいエラーが生まれ、いずれそれはリスクとして医療現場に定着していく。改めて「リスクの生まれ方」のようなものを確認することができた。

 このように、インシデントレポートを通じて、「感染」と「安全」が連携・分業できる点は、少なくとも20年前にはなかった体制であり、現代医療が獲得した大きな武器の一つと考えている。