東京女子医科大学病院の看護師大量退職問題は、コロナによる医療機関の経営難の象徴だ。大学病院の危機は今に始まったことではないが、経営はコロナを機に悪化することが予想され、「白い巨塔」崩壊の足音は近づいている。特集『コロナが映す医療の闇』(全14回)の#05では、瀬戸際に立たされる大学病院のアフターコロナを予想する。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)
女子医大の大量退職騒動、原因はコロナにあらず
積もり積もった不満が爆発した
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)が日本の医療界に刻んだ最も大きな爪痕、それは病院の経営危機である。
コロナ患者を受け入れたことによる稼働病床の減少、手術の延期や外来の縮小、新規入院の制限に加え、コロナ感染を恐れた患者の受診控えなど、さまざまな要因が重なり、多くの病院で医業収入が激減。
全国が阿鼻叫喚と化す中、7月頭に勃発したのが、東京女子医科大学病院(東京都新宿区)の、看護師400人集団退職騒動だ。