「当時、彼は全国転勤ありの金融機関で、私も転勤ありのアパレル系の会社でした。研修は東京で一緒だったのですが、入社して3カ月後には彼は東京、私は大阪に配属となったんです」
 
 それから3年間は2~3カ月に1度会うくらいのペース。交際が始まって間もない時期、寂しくなったかと問うと、少し困ったようにほほ笑まれた。
 
「社会人になってばかりの頃って、お互い仕事を優先するところがあるじゃないですか。自分のことで精いっぱいになるし、適度にメールや電話でやり取りしながら、たまに会うくらいの距離感が、かえって心地良かったのかもしれません」
 
 愛情がなかったということではなく、それまでに築いてきた信頼関係と、お互いの人となりが分かっている安心感があったのだろう。

 その後、ナオキさんが香川への転勤が決まったタイミングでプロポーズをされた。
 
「一緒に来てもらえるとありがたい、と言われたんですけど、そのまま会社をやめて地方に行ってもアルバイトくらいしかできない。自分のキャリアはそれでいいんだろうかと考えたときに、この先、彼の転勤地で仕事ができるような働き方を考えよう、と思ったんです」

新婚生活は別々の場所でのスタート

 会社を辞めたユウコさんは専門学校でWebデザインを学び、デザイナーとして大阪で再就職した。結婚式こそ挙げたものの、すぐに同居はせず、しばらく大阪と香川での別居婚を続けることとなった。
 
「フリーランスとして働ける力を身に付けるには、一度きちんと制作会社で実績を積んだほうがいいだろうと思ったんです。幸い、そのときの経験と人脈がその後にもつながりました」
 
 2人が一緒に暮らすようになったのは、再びナオキさんの転勤が決まったことがきっかけだった。
 
「そろそろ来ないか、と言われて。同居を始めたのは29歳のときですね」
 
 2年の別居婚を経てついに一緒に暮らす時がやってきた。ナオキさんの転勤に伴い、長野、仙台と移り住んだ後、今は東京で生活をしている。
 
「夫の希望で転勤がない東京の会社に勤めることになりました。それまでは各地でフリーランスとして仕事をしていたんですが、やっと落ち着いて暮らせるようになりました」