グローバル活動が進展するほど、経営層は自分の思想やリーダーシップをグローバル組織に行き渡らせることが難しくなる。どうすれば国をまたいで文化の違いを超えて、「ワン・カンパニー」を実現できるかーー。それにはさまざまな仕掛けと行動が必要になってくる。今回、そのチェックシートを用意した。これについて、ユニリーバとアマゾンのマネジメントに聞いた。(マネジメント・コンサルタント 日置圭介)

生まれながらのワールドクラスは存在しない

日置圭介 この連載のテーマは「ワールドクラスの経営」ですが、お2人はまさにワールドクラスでキャリアを積んでこられました。今日は、そのお2人からワールドクラスのリアルな姿をうかがいたいと思います。

山﨑一秀(やまざき・かずひで)
ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス 代表取締役 ファイナンスダイレクタージャパン

東京大学法学部卒。1998年、日本リーバ(現ユニリーバ・ジャパン)入社。インド出向の後、ブランドファイナンスマネジャー、ブランドファイナンスダイレクター、ファイナンシャルコントローラーなど、ファイナンスの分野で経験を積み、2016年7月より現職。

山﨑一秀 私は1998年に新卒で入社して以来ずっとユニリーバですが、その頃から日置さんがワールドクラスの要件に挙げているようなワン・カンパニーだったわけではなかったように思います。

 以前は国ごとに1つ完結した組織があって、その集まりがユニリーバでした。それが組織改編を経て、1つのグローバルカンパニーとして機能する体制になりました。現在のようなグローバルな経営環境のなかで最適なかたちを目指せば、このようになるのは必然といえるのではないでしょうか。

日置 ワールドクラスといえども最初からそうであったわけではないというお話は、長らくグローバル経営に悩んでいる多くの日本企業に勇気を与えてくれます。

 では、どうすればワールドクラスへの一歩を踏み出せるのか。まずは自社の現状を知り、何が足りないのか、どこをどう正すべきなのかを謙虚に理解することから始めるべきでしょう。

 そこで、ワールドクラスの経営行動を5つのカテゴリー22の項目で整理したチェックシートを作ってみました。これについて、お2人の意見を聞かせていただきたいと思います。

青島伸治(あおしま・のぶはる)
アマゾンジャパン ファイナンスオペレーションズ ビジネスパートナー

神戸大学大学院 経営経営研究科卒。プロクター・アンド・ギャンブル、マイクロソフト、ヘンリーシャインジャパンCFOを経て2018年11月より現職。アマゾンジャパンではファイナンス管理業務に加えて、女性のキャリアデベロップメント推進のためのコミュニティ (Women in Finance initiative/WiFi)のリーダーを務める。

 青島さんはP&G、マイクロソフト、アマゾンなどでファイナンスのキャリアを歩んでいらっしゃるので、やはりファイナンス関連の項目には目が止まりましたか。

青島伸治 それもありますが、ビジョンやバリュー、コミュニケーションという言葉に、グローバル企業の経営行動の特性が表れているように思います。

 組織が大きくなるほど、経営層は自分の思想やリーダーシップをくまなく届けることが難しくなります。そこをどうすれば、国をまたいで、文化の違いを超えて、私はこういう人間で、マネジメントやファイナンスについてこんな考えをしていると伝えられるか。さまざまな仕掛けが必要になってきます。

 マネジメントや会社としての考え方がはっきりしていれば、大きな組織に属していても会社の考え方に合う部分や貢献できる点を見つけられるし、そういう環境で働きたいという人材が集まってきます。

 上層部で決めたことが下りてくるだけという職場はすごく居心地の悪い状態になるので、人はやる気を失って離れていきます。