重要会議・5中全会が閉幕
長期目標も示された「建議」
中国の重要会議「5中全会」が10月29日に閉幕した。ここで議論された2021~35年の政策運営方針は、長期的な中国経済の行方を左右する。5中全会の期間中に公表された様々な文献や発言を総括すると、中国政府は(1)内需主導型の成長(消費拡大)、(2)自給自足の強化(内製化)、(3)世界における中国依存度の向上(財、インフラ、デジタル)の3点を重視するとみられる。
様々な文献や発言の中でも、筆者は「建議」「習近平国家主席による建議の解説」「内部会議における習氏の談話」の3つに注目している。
「建議」の正式名称は、「第14次5カ年計画と2035年までの長期目標に関する建議」である。11月3日に公表され、中国語で2万字、全15章60節から構成される。
中国では、旧ソ連に習い、5年ごとに「5カ年計画」が作成されてきたが、今回は2021~25年についての5カ年計画に加え、2035年までの長期目標も示された点に特徴がある。人事面では、習近平国家主席の後継問題に直結する抜擢人事がなかったことが注目される。これらは、習近平政権が長期化することを示唆する。
建議では、産業、金融、財政、行政機構、社会政策、外交、防衛といった幅広い分野で課題が列挙された。課題の並び順は、政策の優先順位を把握するヒントになることもある。
今回の建議では、イノベーションが新しい国づくりの中核として位置づけられた。独自の科学技術こそ国家の発展を支えるという認識のもと、人工知能(AI)、量子暗号通信、半導体などの国家プロジェクトをトップダウンで強力に進めていく方針が示された。このほか、サプライチェーンの強靭化、内需拡大策の拡充など数多くの課題が並ぶ。