その意味で、今回の王毅外相の訪韓は韓国側が期待する習近平訪韓への地ならしではなく、中国の対韓工作の一環と考えるべきである。中国との関係で、韓国が日米韓連携を求めるのは困難であることを再確認した王毅外相の訪韓となった。

習近平国家主席の
年内訪韓は見送り

 王毅外相は文大統領との会談で、習近平国家主席のメッセージを口頭で伝えた。習主席は「国賓訪問の要請に感謝し、条件が整えば訪韓したい」と述べ、文大統領は「新型コロナの感染状況が安定し次第、韓国で会えることを期待する」と応えた由である。

 文大統領は康外相と王毅外相との会談で、習近平主席の訪韓について中国側の厳しい条件について聞いていたのであろう、これ以上突っ込んだやり取りはなかった模様である。

 王毅外相は26日、康外相と会談を終えた後、習近平国家主席の訪韓について記者団に「重要なのは訪問の条件を作り続けることであり、条件が熟せば訪問が実現するだろう」と述べた。しかし、その条件については、「韓国が新型コロナ感染症を完全に制御すること」「何が完全に制御することなのかは双方が協議できる」として明言は避けた。

「完全な制御」ということは、8月に楊潔チ中国共産党外交担当政治局員が釜山で徐薫(ソ・フン)青瓦台国家安保室長と会談を行い、習主席の訪韓条件や日程について合意した条件よりもはるかに厳しい基準である。

 これは、韓国の新型コロナの新規感染者が8カ月間で最多の583人まで増加した(11月26日)現状で、事実上年内の訪韓は困難ということを意味するものである。

 習近平主席の年内訪問の期限が迫っている中、新型コロナがうまく使われた形になっているが、その真意は、今は訪韓したくないということであろう。

 中国側としてはバイデン政権の対中政策を見極め、それに応じて韓国にどのようなアプローチをするか検討した上で訪問する、しないを決めるということだろうし、実際の訪韓の時期はしばらく先延ばしされたということであろう。

 その一方、文大統領は韓国が議長を務める日中韓サミットの開催についても協力を要請し、これに対し、王毅外相はサミット開催を支持すると答えた。だが、サミット開催のめどが立っているわけではなく、一種の外交的発言にすぎないのではないか。