今年で3回目となる「輝け!お寺の掲示板大賞2020」。12月7日発表の受賞作品について、3回に分けてご紹介いたします。時代と世相を映す掲示板の、どの作品が受賞したのか、大賞から順に見てまいりましょう。
新型コロナで明け暮れた2020年
「輝け!お寺の掲示板大賞2020」に1677作品のご応募をいただきまして、誠にありがとうございます。前回に比べて大きく増えた作品を審査するため、関係者一同、だいぶ悩みました。受賞作品のうち、これまでの連載でご紹介したものについてはリンクを貼りましたので、詳しい解説などはそちらをご参照ください。
2020年は新型コロナウイルスの恐ろしさが強調された一年でした。その一方で、ドラッグストアでの「マスク騒動」、感染者を忌避する「コロナ差別」などが発生し、コロナ禍が人間の醜い一面を暴き出した年でもあります。直接被害を受けた方もいますし、報道などでそのことを知り、心を痛めた方もいました。
ということで、大賞受賞作は、「コロナよりも怖いのは人間だった」です。この言葉が掲げられた明導寺のある熊本県球磨郡湯前町は、人吉(球磨)盆地東端部で、ここから下流域にかけて、7月3日~4日の「令和2年7月豪雨」の被災地となりました。コロナと水害のダブルで災難に遭遇してしまったのです。
新型コロナの感染者が急増しており、第3波とも呼ばれる現在の社会の状況が、この言葉が話題になった夏の頃に再び近づいてきているように思えます。このような時だからこそ、仏教の教えに照らして、人間(=自分自身)の煩悩や振る舞いをもう一度見つめ直すべきではないかということで、この言葉が大賞に選ばれました。