一心寺 (香川) 投稿者:@masa480401 [8月11日]

明石家さんまの胸の内

 日本のお笑いBIG3の1人、明石家さんまさんを知らない人はいないでしょう。

 彼のもともとの座右の銘で、色紙にもよく記していたという言葉が、この「生きてるだけで丸儲け」です。

 丸儲けというと、「坊主丸儲け」のように揶揄する言葉にも聞こえます。実際のところはどうなのでしょうか。

 1985年に日本航空123便が墜落事故を起こし、520名が犠牲になりました。この便にさんまさんも搭乗予定でした。ところが、収録が早く終わり、1便早めたため、九死に一生を得たというエピソードがあります。

 「生きてるだけで丸儲け」は、さんまさんが心の底から感じている気持ちなのでしょう。大竹しのぶさんとの間に生まれたいまる(芸名IMALU)さんの名前もこの言葉から取られているそうです。

 誰しも人生の中でうまくいくこと、うまくいかないこと、さまざまなことを経験します。さんまさんは「生きているだけで丸儲け」という言葉を何万回とファンのために書き続けることによって自分自身へ暗示をかけていたのではないかと思います。

 この考え方が自分の身体の中に完全に浸透すれば、すべてのことが当たり前でなくなります。このことにより、どんな状況に置かれても幸せな気持ちで生きていくことができるのです。さんまさんは「幸せに生きるコツ」を、若い頃から分かっていたといえるでしょう。

本来無一物という禅のこころ

 さんまさんは、若手の頃の経済的に恵まれていなかった時代を自虐的なネタにすることがあります。彼の名言に、「人間生まれてきたときは裸。死ぬ時にパンツ一つはいてたら勝ちやないか」というのがあります。

 禅には「本来無一物(ほんらいむいちもつ)」という言葉があり、相国寺(京都)の有馬頼底老師が、以前あるテレビ番組で「本来無一物」を説明する際に、このようにおっしゃっておられました。

 「本来自分のものだと、『おれが』とか、『これは私のものだ』という執着心、これがさまざまな形で人間を阻害しております。本来何一つ持って生まれたわけではなく、何一つ持って死ぬわけじゃない。これさえしっかり胸におさめておれば、ほんとに素晴らしい生き方ができるんじゃないか。これが禅の生き方なんですね」 

 この言を踏まえると、さんまさんの2つの言葉はまさに禅的な雰囲気を帯びているともいえるのではないでしょうか。命1つ、パンツ1つでも、という彼の幸せへの目線の低さが、40年近く続く人気の秘密なのかもしれません。本当に心豊かな人間は、どんなに小さなことに対しても感謝の気持ちを覚えるものです。 

 幸せになるための人生哲学を語り、自分でも実践し、人々を笑いの渦に巻き込む。明石家さんまさんはやはり天才だと思います。

(解説/浄土真宗本願寺派僧侶 江田智昭)