【お寺の掲示板の深い言葉 37】速報!第1回大賞受賞作は「おまえも死ぬぞ」に決定願蓮寺(岐阜) 投稿者:@10com_nj [7月15日]

大賞は「おまえも死ぬぞ」

 第1回となる「輝け!お寺の掲示板大賞2018」ですが、関係各位による厳正なる選考の結果、仏教伝道協会大賞を初めとする10件の受賞作が決定いたしました。本日から2件ずつ、解説も交えて受賞作をご紹介してまいります。

 今回は、仏教伝道協会の大賞と協会賞の2件です。

 栄えある大賞受賞作は、連載第1回で掲載した「おまえも死ぬぞ」でした。 

 この標語によって「お寺の掲示板大賞」が世間に認知されたと言っても過言ではありません。この一言が示す「真実」の持つインパクトは、ネット社会のみならず多くの人々に影響を与えました。まさに文句なしの受賞作品と言えるでしょう。

 受賞者の中田さんは、「生も死も同等にあること、特別なことではなく当たり前の感覚として、自分に染み込ませたいです」と投稿の際、ツイッター上にコメントしていました。

 掲示されていた願蓮寺(岐阜県郡上市)は真宗大谷派のお寺で、蓮如の弟子となった地頭の家臣が明応三(1494)年に創立したという古刹です。

 長良川鉄道越美南線(えつみなんせん)「郡上八幡」が最寄り駅となる、山間の城下町にあり、「郡上八幡十三ケ寺めぐり」にも入っています。日本最古の木造再建城「郡上八幡城」があり、念仏踊りの系譜とも言われる日本三大盆踊りの1つという「郡上踊り」は、毎年7月中旬から9月上旬まで、のべ32夜も開催される一大ページェントです。

 大賞が決まりましたとお電話で伝えた際に、「光栄です」とお話になったご住職は、しきりに恐縮なさっていました。と言いますのも、この標語は岐阜教区で昔つくられた掲示伝道の用語集に載っていたものだったからなのだそうです。他のお寺は使用せずにこの願蓮寺さんだけが使われたのだとか。ご住職のセンスに脱帽です。

【お寺の掲示板の深い言葉 37】速報!第1回大賞受賞作は「おまえも死ぬぞ」に決定佛光寺(京都) 投稿者:@wakamuraryo [10月5日]

仏教伝道協会賞は「つくられた幸せ」

 仏教伝道協会からもう1件、協会賞も選定しました。それが連載第25回で掲載した標語です。 

 掲示されていた佛光寺は真宗佛光寺派の本山。京都の中心部、四条通と五条通の間、高辻通に面して巨大な掲示板があり、地元では有名な存在です。

 「ハッとさせられました ^_^」とコメントを残した受賞者の若村亮さんは、ご自宅が近いため毎日こちらの掲示板を楽しみにご覧になっていたようです。

 現在、多くの人々が日常的に使用しているSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)にスポットを当てた作品です。流行の横文字などを頻繁に使用して掲示伝道を行ってきた佛光寺さんらしさがあふれていて、「SNS疲れ」を起こしている若者にぜひ読んでもらいたい文言になっています。

 ちなみに、佛光寺公式サイトでは過去の標語も掲載されていますので、ぜひ触れてみてください。素晴らしい標語ばかりですよ。

(解説/浄土真宗本願寺派僧侶 江田智昭)