キャベツはラップにくるんでテープを貼る。売れ残ればラップを取り除いて半分に切ってまたラップにくるんで……。マニュアルにとらわれ、作業に手間ばかりかかっていたのだ。キャベツは鬼葉を取って裸で置くだけのほうが、鮮度感が出る。多くの本の中から使えそうなマニュアルを見つけると、利用できるところをダイジェストして独自のものを作り上げた。
鮮魚では小パック化を進めた。小家族化、単身化は都心だけで進んでいるわけではない。鹿児島では特に高齢化が進み、ひとりで暮らすお年寄りは少なくない。ひとりで食べ切れる量のパックをそろえ、値頃感を心がけた。バックヤードでの作業は増えたが、これも顧客の期待に応えるためだ。
タイヨーでは衣料品を扱う店も多い。そこでも在庫は山のようになって売場まであふれ、「これでお客さまはどうやって買い物を?」(清川氏)と思うくらい、ぎゅうぎゅう詰めで商品を抜き取れないほどだった。
調べると在庫の4割が、半年以上動かずに眠ったままになっていた。「まるでわが社の店はメーカーさんや卸さんの倉庫代わりでした。要らないものを押し込まれ、売れないから値引きするので利益は取れない。うまく使われていたんです」(清川氏)。清川氏はアパレル部門でも自ら部長を兼任すると、在庫をバッサリ処分し、バックルームの在庫はゼロになった。
また、必ず週に1度は代表的な店を回って、ディスプレイを指導した。売場を歩く中、これはと思う商品をスタッフとともにピックアップしてマネキンに着せ、季節のステージを作りあげる。できあがったステージをスマホで撮影して他の店に送る。各店でそっくりまねすることで、効率よく衣料品のアピールができるようになった。(つづく)