仕入れたものの店頭に出す機会を逃し、そのまま放置されていた不良在庫だった。一部売れそうなものはディスカウント専門店を作ってさばくことにしたが、大半は処分せざるをえなかった。
こうして顧客からは見えない部分の清掃を徹底すると、その後、いよいよ売場へと向かった。
掃除することで感覚が研ぎ澄まされる
まず、店の入り口では、窓にびっしり貼られたポスター類をすべて剥がし、テープの跡もきれいに消し去った。売場の棚のPOP類や突き出し類もすべて取り除いた。販促目的でわざわざ作ったものだが、あり過ぎれば何が大事なのか、かえってかわからなくなってしまう。同じ理由で、棚の端に積まれた商品や、通路の真ん中のゴンドラも一掃した。
「外から店の様子をのぞくことができれば、お客さまは安心して店に入って来られるでしょう。突き当たりまで見通せれば、そこまで行ってみたくなり、さらにその奥へ奥へと進みたくなるでしょう」(清川氏)。
店長をはじめ店のスタッフたちは、始めはあっけにとられたという。反発もあったに違いない。だが、実際に店がきれいになり、自分たちにとっても居心地が良くなるとスタッフは自ら動き始めた。
清川氏と業績業務改善課は次々と赤字店に乗り込んでいったが、そのたびに店の雰囲気もスタッフの気持ちも変わっていった。
店内の壁紙をスタッフ自らが貼り替えたり、高圧洗浄機を背負って外壁を清掃する店員が現れた。本来ならば専門業者に任せるような大がかりな補修や売場のレイアウト変更を自分たちで行った店もあった。
「掃除をすることで感覚が研ぎ澄まされ、それまで見えていなかったことが見えて来るんです」と清川氏は語っている。高額になる工事も、自分たちで行えば意外なほど安く済ませることができた。
商品が山積みで衣料品が抜き取れない!?
各部門へも深く入り込んで改革を進めた。ある店を訪れた時、真っ先に目についたのが青果の平台だった。ゼリーや青汁が置かれていた。
「一番新鮮さをアピールしなければならない『店の顔』となるべきところに、なぜ?」(清川氏)と、あきれ、すぐに旬の野菜や果物を置くよう指示したが、また別の問題が浮上した。