必死に対策しても効果はわずか
性格を良く見せようとするのは意味がない

 実際に適性検査を受けるまで、どの企業が提供する適性検査を受けるのか、応募者はもちろん知ることができない。そのため、導入企業が多いSPI3や玉手箱といった適性検査対策を熱心に行う就活生は多い。

 もちろん検査に慣れていないと普段の実力が発揮できないため、特に能力検査については問題の出題方式や傾向を知るなど、ある程度の「慣れ」は重要だろう。ただし、熱心すぎるほど能力検査のトレーニングをする必要はない。

「SPI3の能力検査を受験した人を、その後『対策を行った人』と『しなかった人』に分けて再度受験してもらったところ、対策を行った人は慣れの効果で3点ほど点数が上昇することがわかった。ただし、短期間の訓練や勉強でどんどん点数が上がるようなものではない」(仁田主任研究員)

 一方の性格検査は面接などでは見えない性格を検査によってあぶりだしてくれるもので、自分をよく見せようと取り繕う回答をしたりするのは、あまり意味がない。偽った回答をしたまま内定を獲得して入社し、自分の性格に合わないような職務を負うことになって適応できなければ、それこそ企業にとっても、新入社員にとっても不幸だ。あるいは逆に、本来は適応しやすい業務内容や社風なのにもかかわらず、偽った回答をしたことで「適応しにくい」という結果が出て、入社のチャンスを逃すかもしれない。

 また性格検査については、SPI3では「回答全体の傾向から明らかに矛盾した回答を行っている可能性が高い対象者を判定できる」(仁田主任研究員)ため、もしそのような回答をしていた場合は「自分を望ましく見せる傾向がある」という結果が、企業側に伝わる可能性がある。

 入社後のギャップをなくす意味でも、性格検査では日ごろの自分の行動や考え方に最も近い選択肢を選ぶようにして、ありのままの自分で臨んでほしい。