「能力検査」と「性格検査」では
何を診断されているのか

 適性検査は、リクルートグループが提供するSPI3が最も有名だが、実はさまざまな企業が提供している。

<適性検査の例(提供会社名)>
・SPI3 (リクルートマネジメントソリューションズ)
・玉手箱(WEBテスト)/GAB(総合適性テスト)/CAB(職務適性テスト)など (日本エス・エイチ・エル)
・V-CAT(メンタルヘルス、持ち味の診断)など (日本能率協会マネジメントセンター)
・DPI(職場適応性テスト)/DII(知的能力診断テスト)など (ダイヤモンド社)

 これらは以前であれば「ペーパーテスト」(筆記)で行われることが多かったが、近年では「テストセンター」と呼ばれる会場に足を運んでパソコンで試験を受けるもの、あるいは自宅で「WEBテスト」を受ける形式で行われるものが増えている。このコロナ禍で、自宅などどこからでも受験できるWEBテストを導入する企業がさらに増加したようだ。テストセンターでの受験やWEBテストの場合、正答率などから人によって出される問題が変わる仕組みになっている。

 適性検査にはさまざまな種類があるが、検査の内容は「能力検査」と「性格検査」の2つに大別することができる。具体的にそれぞれでは何を問われるのか、解説していこう。

【能力検査】

 提供会社によって若干内容は異なるが、小学校や中学校で学んだ「国語(語彙、文章読解)」や「算数(計算、推論)」の問題が出されることが多い。

 しかし、適性検査で見られているのは、文章読解力や計算力ではない。SPI3の開発などを行うリクルートマネジメントソリューションズ 測定技術研究所の仁田光彦主任研究員は、「適性検査では、いわゆる“地頭”と言われるようなものが測定領域となる」と語る。

「情報を理解・整理して合理的に思考し、計算なら公式などを使った数的処理によって解答を導き出すというプロセスを課す問題から、効率的・能率的に事態を処理していくような能力をチェックしている」(仁田主任研究員)

【性格検査】

 普段の行動、考え方を問う質問を多数行い、その回答から応募者の性格を分析するのが性格検査だ。積極性や協調性、慎重性、責任感といったどのような業種・職種でも必要な性格特性を診断するのはもちろん、職種によって重要度が異なる特性もチェックできる。例えば、活動性、持久性、思考性、自主性といった仕事への取り組み方や、対人関係においては共感性、指導性などの診断ができる。

 結果を良い悪いで判断するのではなく、なかなか表面には表れにくいけれども、内面にある性格を知ることができるのが性格検査になる。