適性検査Photo:PIXTA

インターンシップの選考や採用試験の初期選考において、行われることが多いのが「適性検査」だ。対策を必死に行う就活生は少なくないが、「結果を良くしたい」と考えすぎて検査に臨むのは望ましくないという。その理由を、適性検査を行う目的やその内容から解説していこう。(ダイヤモンド・セレクト編集部 林恭子)

約9割の企業が実施
適性検査はなぜ行われる?

 リクルートキャリアの調査・研究機関である就職みらい研究所が行った調査(『就職白書2019』から)によると、採用活動において「適性検査・筆記試験」を実施している企業の割合は、91.8%に上っている。中でも従業員規模が5000人以上では実施率が95.8%と、企業規模が大きくなるほど実施される可能性が高い。

 では、多くの企業で行われる「適性検査」とは、一体どのようなものなのか。内容について詳しく見ていく前に、まずは企業が適性検査を実施する目的を知っておこう。

【適性検査の目的(1) 面接選考を行う応募者の優先順位をつける】

 近年では採用選考時に「すべての応募者と面接する」ことを掲げる企業も増えてきたが、大企業を中心とした人気企業では応募者が非常に多く、すべての応募者と面接するのは現実的に難しい。そこで適性検査は、履歴書やエントリーシートでの選考に加え、応募者の優先順位をつける目的で利用されている。

 具体的には、自社の求める人材像や傾向を分析して自社の採用基準を設定。そして、応募者に適性検査を実施して、その採用基準に照らすことで自社に合った応募者を絞り込めるようになる。

【適性検査の目的(2) 面接時の人物理解の補助として】

 面接において企業側は、限られた時間の中で、応募者の人となりを理解し、評価しなければならない。しかし、面接だけでは見えない応募者の魅力もあり、さらに応募者は面接で「自分を良く見せよう」とすることもあるだろう。そこで役立つのが、適性検査の結果だ。

 面接前に適性検査の結果を知ることで事前の人物理解につながり、また面接時に応募者から受けた印象と適性検査の結果にギャップがあれば、その人の内面や本質を深く知る補助にもなる。面接官のみならず、人は誰でも第一印象に引きずられてしまいがちだが、適性検査の結果をきちんと見ていれば、その印象だけに影響されずに判断する一助になる。

【適性検査の目的(3) 内定者フォロー時の自己理解、相互理解のため】

 3つ目は内定者に対して、自己理解を深め、入社に前向きになってもらうためのツールとしての活用だ。内定後は入社まで何も不安がない、という内定者の方が少ない。自分が会社でうまくやっていける能力があるのか、同期や先輩・上司との人間関係をうまく築けるかなど、不安は山積みだろう。

 こうした不安を払しょくするために、適性検査の結果を共有して自己理解を深めたり、内定者同士で見せ合って相互理解を促したりして、内定者が自信を持って入社することにつなげる。

【適性検査の目的(4) 入社後の育成支援を行うための利用】

 入社後、新入社員に対してどう育成・支援していくのかは、上司やメンターにとって重要な関心事だろう。新入社員も十人十色、同じ育成や支援を行って成果が出るわけではない。そこで、どういった育成や支援を行えばいいか、新入社員の能力や性質を事前に理解するためにも適性検査を活用できる。

 今回は主な4つの目的を紹介したが、内定者フォローや入社後の育成支援を目的とした活用はまだできていない企業が多く、主に採用選考時のみに活用されているケースが大部分のようだ。